初恋cherry.(1〜32)
□10話
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スプーンリレーから戻ると
「咲季1回落としたでしょ〜?期待通りだわ」
ユッちゃんにからかわれる。
「ご、ごめんね?あっ!ユッちゃん!次の借り物競争に諸星くん出るんだって!」
クラステントの応援席の一番前に移動する。
諸星くん、いた!
あ〜もう格好良いよ〜
借り物競争がスタートしてお題のカードを選んで開くと、諸星くんは少し固まってしまったように見えた。
「何て書いてあるんだろうね?」
ユッちゃんと話していると諸星くんは走り出した。
私のクラステントの前を通るとき、諸星くんがこっちの方をチラっと見た気がした。
まさか…
さっきの会話を思い出す。
でも期待も虚しく諸星くんはそのまま通り過ぎて10組のクラステントに行って、担任の先生の腕を掴んで行ってしまった。
まあ、そんな訳ないよね。
少し期待してしまった自分が恥ずかしい。
先生とゴールした諸星くんに、体育委員の人がマイクを向ける。
「お題は何でしたか?」
「好きな人って書かれてたんで、大好きな担任の高橋先生を連れてきました!」
諸星くんがマイク越しに話すと、その瞬間ワーッと応援席が盛り上がる。
「いいぞ諸星ー!」
「諸星先輩格好良いーっ!」
学年やクラス関係なく声援が聞こえる。
うん、格好良い。
やっぱり諸星くんはスターだなあ。愛知の星だ。
うっとり見とれていると
「さっき諸星くん、一瞬咲季のこと見なかった?」
ユッちゃんが話しかけてきた。
「何だろ?さっき少し話したからかな?」
「てかさ、あれ……いや、まだ確信がもてないからまたちゃんとわかったら言う!」
「??うん」
ユッちゃんの発言は気になったけど、私は諸星くんで頭がいっぱいでまた彼に視線を戻した。