初恋cherry.(1〜32)

□4話
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あれから2週間、今日は期末テスト最終日。


今日からまた部活が始まる。

今日からまたバスケをする諸星くんを見られる!


テストを何とか乗り切って、ルンルンで体育館に向かう。

テスト終わりということもあって、ギャラリーの女の子も今日は少な目だ。


2週間ぶりに見る諸星くん…相変わらず格好良い。

“愛知の星”なんて呼ばれているだけあって、プレーは本当に華麗だし、キャプテンとして部員に檄を飛ばす姿も凛々しくて素敵。


いつものように諸星くんを目で追っていると、シュートを決めた諸星くんが少しキョロキョロした後こっちを見たような気がした。

でも諸星くんは普段はギャラリーの方は見ないから気のせいだろうと思ったけど、近くにいた女の子達が『さっきこっち見た!』って騒いでる。

じゃあやっぱり気のせいじゃないのかな?
目が合ったような気がしたのも…気のせいじゃないの、かな。

自惚れでもいいや。
今日は諸星くんと目が合った記念日ってことにしよう。


ほどなくして午前中の練習が終わって、バスケ部の皆は昼休憩に入った。

私もお腹すいたし帰ろうかな。

1階におりて体育館を出ると、後ろから声がした。


「ねえ」


振り向くと、練習着姿の諸星くんが立っていた。


「っ、はい」


何で?何で?
おおお落ち着いて話さなきゃ。
またもやプチパニック状態だよ!


「この間はぶつかってごめんな。何ともなかった?俺デカいからさ、大丈夫だったかなって気になってて」

「いっ、いえ!全然!全然大丈夫です!」

ブンブンと首を振りながらなんとか声を絞り出して答えた。

やばい、声が震える。


「そっか、なら良かった。あ、今日の体育館はどう?異常なし?」


!!!
やっぱり覚えてたんだ!
恥ずかしすぎる!


「ち、違うんです!あれは!つい口から出てしまって!」

胸の前で拳を握りしめて必死で弁解する。


「あっはっは!必死すぎ!顔真っ赤!」

諸星くんが爆笑してる。

何か言い返したいけど、これ以上何も言葉が出てこない。

こんなに近くに憧れの諸星くんがいることが信じられなくて見とれてしまう。


「はぁー、おかし。ごめんごめん、そういえば名前何ていうの?この間はわからなくて体育館さんって呼んじゃったし、ぶはっ!」

諸星くんがまた吹き出す。


「〜〜〜っ!名前は、川瀬です。3年2組の川瀬咲季といいます。」


「そっか、川瀬さんね。また点検に来てよ、体育館。くくっ」

「もぅ!違うんですってば!」

「あっはっは!じゃあ俺行くね。またね、川瀬さん」

「はいっ、あの、練習、頑張ってくださいね!」

「うん、ありがとう!」


諸星くんは軽く手を振って体育館へ戻って行った。




私はその場に立ち尽くす。


信じられない…私、諸星くんと、会話しちゃった。

名前を知ってもらって、諸星くんが私のことで笑って、私に手を振ってくれた。

またね、って。



ユッちゃん、これも進歩ってことで、良いのかな?

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