―ご主人様シリーズ―
□私の御主人様
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『うわぁ・・・・・可愛い・・・』
「・・・・・・」
『お名前はなんですかぁ?』
「は?そんなもんまだ無いに決まってるやろ。」
『や〜ん!!キャンキャン言ってる〜可愛い〜 』
「・・・・・・・・」
『これ何犬・・・?陽菜〜!!』
目の前にいる人間が、溶けそうな顔で私を眺めて来た。
ここに入れられて数日経った。
私以外は皆ここを出されて行ってしまった。
噂によればここから出ると連れて行かれて、
飼い主と呼ばれる人間に飼われるら しい。
そして私たち犬は、飼い主と仲良く暮らすんだと。
ただ飼い主にも色々といるらしい、
始めは何かと構いたがって世話を焼き、飽きれば見向きもしなくなる。
私達がどれだけ構って欲しくても。
私達は人間に飼われるという事は、
全て が飼い主に委ねられる訳で・・・
餌だって飼い主がいなきゃ得る事は出来ない。
散歩だって好きな時に行ける訳じゃない 。
媚びへつらう事も必要らしい。
だけどこうして犬に生まれたんだ、この運命は変えられない。
どんな飼い主だって私達が選べる訳じゃないんだから。