短編

□気づいた瞬間
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「ねーー、御幸って茜のこと好きなの?」

「・・・・なんのことかね笹山さん」

分かりやすいやつめ。

茜は青道高校野球部のマネージャーで私の親友だ。

彼女はハッキリ言えば天然だ。
栗色の髪にはゆるくウェーブがかかっており、歩くたびにそれがふわふわと揺れる。
大きく、パッチリ二重の目。
平均よりも低い身長で、小動物のような彼女は可愛い。美少女だ。

「あの子可愛いもんねー。気持ち分かるよ。」

私が男だったらきっと彼女に惚れていたと思う。
それほど、彼女は女の子として魅力的だ。

「はっはっは。お前とは正反対だな」

「ひ、人の心を読むな!そして失礼!!」

「ぜーんぶ顔にでてんだよ、笹山は」

「っぐ・・・・」

御幸の言う通りだ。

私はがさつだし、化粧っ気もない。身長も平均以上あるし、顔だって平凡だ

「告白すりゃいいのに。絶対オッケーでしょ」

「どっからくんだよ、その確信」

「んー、女の感ってやつ?」

「信用なんねーな」

「あ、でも美男美女カップルってのはむかつくなぁ」

「そりゃどーも」

「褒めてないんだけど」





女の感なんてのは嘘だ。

本当は知ってるんだ。

茜が御幸の事が好きだって事。

あの子は、一年の頃から好きだった。

きっと、御幸も

「じれったいなぁ・・・」

「なんか言ったか?」

「んーん、なんも」

早くくっつけばいいのに

両想いだって知ってるこっちの身にもなれってんだ

ムズムズすんだよなー

でも、二人が早くくっつくように手助けなんてしない

理由は二つある

なんだかんだいって、両片思いってのは見ていて面白いなぁーって思う自分がいるから

もうひとつの理由は分からない

いや、気づかないようにしているだけかもしれない

だって・・・・・・・・

















気づいた瞬間


私はきっと、御幸と茜のことを応援できなっくなってしまうから

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