短編

□隣の彼
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私の隣の席の御幸君は、野球部だ。



二年生になり、私は彼と同じクラスになった。

隣の席になって数週間が経つが、私は未だに彼との会話はない。

別に御幸君が嫌いとかじゃない。ただたんに、話しかけずらいんだ、彼は。

いっつも一人でノートかなんかを見ているし、誰かと話している時もあるが、
それはたいていが同じクラスで野球部の倉持君だ。

いっつも二人一緒で仲が良いのかと思えば喧嘩ばかりしている。

友人によると彼らには友達がいないらしい。可哀相に。

そんな御幸君だが、顔はカッコいい。

よく女の子に告白されている。この間も三年生で一番可愛いといわれている先輩に告白をされたらしい。

断ったらしいが、彼女でもいるのか?と思えばそうじゃないらしい。
今は野球に集中したいとかなんとか。まぁだいたいこんな感じでこの二年間何人もの女の子がフラれてきた。

この調子だと、彼は誰かと付き合う事なく高校三年間を終えそうだ。

まぁ、生まれて16年経った今でも初恋がまだな私に言えた事ではないが。

御幸君の説明はもういいだろう。

授業開始のチャイムが鳴る。次は数学だ。

つまらないことこのうえない。何か面白い事が起こらないだろうか



「やべ、教科書忘れちまった。」

私の隣の席、御幸君から聞こえたような気がするが、気のせいであって欲しい。

「ごめん、笹山さん教科書見せてもらってもいい?」

「え」

アンビリーバボー。今日は厄日だ




これが、彼と私のファーストコンタクトだった








隣の彼


「ページめくっていい?」

「あ、はい。どうぞ」

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