騎士王列伝外伝〜とある王国の日常〜
□〜バレンタインデー記念小説:リリィのフォーチュンチョコレート〜
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2月14日
それは恋する乙女達が好意を抱く男性にチョコレートを贈る一年に一度の一大イベント『バレンタインデー』。
そして、アヴァロン王国の『白銀の百合姫』も、愛する『黒騎士』にチョコレートを贈ろうと奮闘していたのである。
〜2月14日〜
ナハト「これは王。おはようございます」
アルトリア「ああ、おはようナハト。それと、今朝は外で食したほうが良いぞ。」
ナハト「何故ですか?」
アルトリア「………アレだ。」
アルトリアはキッチンを指差しながら言った。それを辿っていくと……
『男衆(アルトリア様もです)立入禁止。by料理の鉄人』
とあった。それも、わざわざ筆書きでしかもわざと迫力あるように書かれている。
ナハト「……成る程……」
アルトリア「そういうことだ、分かったら退散しよう。」
ナハトはアルトリアの言葉に頷くと共に城下で朝食をとり、時間をつぶすことにした。
〜キッチン内〜
リリィ「うーんと、砂糖が大匙………あー!!少し余分に入っちゃったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ディアーチェ「落ち着け!!僅かな誤差ならそれほど問題な………待て待てだから塩を入れようとするなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
キッチン内部ではリリィが悪戦苦闘していた。少し前に最愛の人ナハトと両想いとなったリリィはなんとしても自作したかったのだが、リリィは料理が出来ず、途方に暮れていた時に手を貸してくれたのがアヴァロン王国の料理の鉄人ディアーチェだったのだ
そんな訳でディアーチェに教授してもらいながらチョコ作りを開始した。
そして、実に5時間もの時間をかけてチョコが完成したのだった。
リリィ「で……出来たぁ…!!」
ディアーチェ「ふむ、上出来だな。後はナハトに渡すだけか。」
リリィ「はい!!やっと、わたしの努力が報われます!!」
リリィは出来上がったチョコレートを入れた箱を大切そうに抱きしめ、今日までの苦労を振り返っていた。