main

□大好きな君へ
1ページ/1ページ

結局、こんなものだとわかっていた。
こんなにもあっけなく終わってしまうことなんて、わかっていた。
そうゆう所で戦っていたって事はわかっていた。


わかっていた――――はずだった。


「ねぇ、典明。もう一度、もう一度だけでいいから私を見てよ。」
そんなとこで倒れてないで―
お腹にそんな大きな穴開けてないで―

全部分っていたけど、それでもなんで典明なのかなって、なんで今なのかなって、そう思わずにはいられなかった。

「典明、のりあき、ねぇ、聞こえてるでしょ?」
だったら返事してよ、典明。
DIOだって倒したんだよ?
もうホリィさんも元気なんだよ?
みんな生きてんだよ?
日本に帰ったらゲームするんでしょ?
高校卒業して大学生になったら結婚するんでしょ?

「なんで死んじゃったの?」

全然分からない、さっぱりだよ。
こんなに大好きなのに。

「りん、そろそろ行くぜ」
承太郎がうつむき加減にいった。
その声は少しだけ震えていて。
典明は皆に愛されたんだなって。

最後くらい、笑わないとね。

「ありがとう、大好きだよ」
今の私の精一杯の笑顔で、
私が今一番伝えたいことを―

「ごめん、待たせちゃって。行こうか、承太郎」
「もう、いいのか?」
承太郎が心配そうに私を見つめた。
「うん、もう平気。心配させちゃってごめんね、」
「……いや、ならいいんだ」

びぅっと風が私の頬を撫でる。
私の初恋はこんなにも壮大に終わるのか。
なんだか本当に現実味がない。
こんな体験死ぬまでないんだろうなぁ。  

「りん、」


「?」






「のり、あき?」

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ