Heresy Doll

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その日は昼間から屯所内が騒がしかった

部屋で休息を取っていた私は、

何が起こったのか把握するため、広間に出向く

そこでは幹部と千鶴がいて、何やら会議をしているらしかった

あまり会ったことのない監察方の男性二人もいる



『・・・・・・何があったんですか?』

「・・・・・・総司たち一番隊が、泳がせていた古高を捕縛してきたのだ」

『・・・ああ、なるほど』



山南さんに小言を言われている沖田さんは、いつもの笑顔のままで

それをかわしたりしていた



「桝屋喜右衛門と身分を偽っている人間は、長州の間者である古高俊太郎だった

・・・・・・我々は彼を泳がせていました。それは沖田くんもご存知でしたよね?」


新撰組がわざと泳がせ、動向を探っていた人間を急に捕まえてきてしまったため、

予定が狂ってしまったようだ


沖田さんを叱っている山南さんは、

怪我をしてからどこか冷めた雰囲気で、前よりもひねくれたように周りを避けていた


それもあってか、会議は少し長引いている


「ま、結果的にはある意味、大手柄だろうな」

「でも古高を泳がせるために頑張ってた、島田くんや山崎くんに悪いと思わないわけ?」


原田さんが沖田さんたちを支持し、

平助は古高という者を監視していた監察方の二人、島田さんと山崎さんを見て言った


その二人は平助の言葉に礼を言うが、

自分たちも行き詰っていた、といって沖田さんたちのフォローをする

千鶴も自分のせいだと山南さんに言うも、それは監督不足だと山南さんは責め続けるだけだった


すると、外出許可を出した俺に責任がある、と

広間に入りながらそう言ったのは土方さんだ


「・・・・・・まあ仕方ないですね

ところで土方くん、君が来たということは捕縛した彼らから何かわかりましたか?」



山南さんが問うと、土方さんは苦い顔をして言った


「・・・・・・奴らはかねてから、烈風の日を狙って京に火を放つことを計画していた」

「町に火を放つだぁ?長州の奴ら頭のねじが緩んでるんじゃねえの?」


新八さんがその情報に文句を言うと、今度は平助が呆れた表情をした


「それ単に天子様を誘拐するってことだろ?

尊王を掲げてるくせに、全然敬ってねえじゃん」

「・・・・・・何にしろ見過ごすわけにはいかない」


斉藤さんがそう口にすると、土方さんはまた口を開く


「だが、あいつはまだ何かを隠してる・・・それが聞きだせねえんだ」

『・・・・・・それを聞き出したのは・・・拷問?』

「・・・・・・、お前な」

『だったら、私にその役目任せてくれませんか?』

「「!!?」」

「・・・・・・おいおい、煉正気か?」



私がそういうと、皆は愕然として反論した

・・・・・・拷問は、私の得意分野だ←


『・・・皆さん、私の能力をお忘れで?』

「能力って・・・てれぽーとってやつだろ?

物体を転送させて・・・って、あれを古高にやるってことか?」

『そうです』

「手の内明かしてどうすんだ!お前は大人しくしてろ!」

『でも、結局古高って人このまま世には出られないんでしょう?

だったら何も心配ないじゃないですか』

「・・・・・・・・・確かに」


その説明に全員賛同してくれたらしく、土方さんが案内をしてくれることになった

私が土方さんについていくと、後ろから幹部が数人やってきた

・・・・・・そんなにみたいのかな







「・・・・・・もう話すことは何もない」


古高のいる部屋へ来ると、縄で厳重に縛られた男がいた

古高は私たちの姿を見ると、そう嘆く

それだけを信じろ、というのが無理な話だ

太ももを触って、鉄針があるのを確認する



『・・・・・・そういわずに・・・さっ、!』



自身を転送し、古高を蹴り飛ばしてひれ伏させる

そして、太ももに手をかざし鉄針を飛ばした



ひゅ、という音と、とんっという針が床に刺さる小気味のいい音が響く

それを見ている幹部たちは、どんな顔してるんだろう




「な、なななん・・・っ・・・!」

『・・・話すこと、ありませんか?』

「・・・ない、」


再度確認を取り問うと、どれだけ強情なのか、ないといわれる

これでは埒が明かない、と思った私は、土方さんに小声で聞いた



『・・・殺さなければ、傷つけても?』

「・・・!・・・ああ。だが、程々にしてくれよ」

『・・・はーい』



副長の許可を貰い、また鉄針を送り込む


トッ、という音が響くと同時に、



「ああ゛あああああッ!」



古高の悲鳴が響いた



『・・・・・・話すことがあるだろう?それともこのまま、これをあんたの心臓に転送してもいいんだぞ』

「あああ゛っいあああ」

『・・・・・・チッ・・・叫んでねえで早く言えよ』

「わ、わかった・・・っ・・・お、俺たちは、新選組の屯所を襲撃することを、目的としていた・・・っ!」

『だから、京の町に火を放つのか?』

「そうだ、それは単なる囮に過ぎない・・・っ!あああああッ」

『・・・・・・・・・だ、そうです』




聞き出した情報を流すと同時に、古高の体内に送り込んだ針を手元に戻す

血に濡れた針を見た幹部は少し青ざめ、

土方さんはそんな顔で、私を見て頷いていた


















恐怖を運ぶマテリア


(現実は、)(これからの悲劇を呼ぶ)

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