Heresy Doll

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「さて、本題に入ろう・・・まず、改めて夕べの話をしてくれるか?斉藤くん」


近藤と呼ばれた男は、そう話し出した

指名され説明をしだしたのは、昨晩私たちを拘束した1人


「夕べ、"失敗"した隊士らが市中にて不逞浪士と遭遇

斬り合いとなりましたが、処理しました

その折、この者に目撃され、もう一方は隊士を刀ではない何かで殺しています」


斉藤という男は私たちを見据え、感情の読めない顔でそう言った

・・・・・・やっぱりあの戦い方はまずかったなー・・・。


「私、何も見てません!」


そして少女はその言葉に反論してそう叫んだ


「本当に?」

「見てません!」

「ふーん・・・見てないならいいんだけどさ」

「・・・お前は?」


この中で一番若そうな少年に声を掛けられ、私も答える

まあ、さっきの説明で大方あってるんだけどね


『・・・先ほどの説明で、間違いありません

私が浅葱色の服を着た人間たちを殺しました

・・・・・・それに、この子は本当に何も見てないですよ

私が隠すように立ってましたから』


そう言って周りを見回すと、先程より重くなった空気が立ち込めていた

・・・こんなことに巻き込まれるなら、あの時逃げればよかったかな



「ほら、殺しちゃいましょうよ

口封じするには、それが一番じゃないですか」

「そんな!」

「そうだ、お上の民をむやみに殺してなんとする」

「・・・・・・今のはただの冗談ですよ冗談」

「・・・・・・冗談に聞こえる冗談を言え」


今のは確かに冗談には聞こえなかった

殺されるなら、その前に逃げるか、こっちがやるかだ

そう難しいことではない

が、男たちは良しとしなかった


「・・・・・・副長、結論も兼ねて

一旦こいつらを部屋に戻して構いませんか?

同席させた状態で誰かが機密を漏らせば、

処分も何も、殺す他なくなる」

「・・・・・・そうだな

そっちのやつだけ頼む、」


少女の方をさし、土方という男は連れて行くように命じた

あれ、私は?


「・・・・・・お前には、聞きてえことが山ほどあんだよ」

『・・・・・・・・・』



しばらくの沈黙の後、少女を連れて行った男が戻ってきた

私の方を一瞬見ると、襖を閉めてまた同じ場所に座る



「・・・・・・お前は、何者だ」


数分後、沈黙を破った言葉は、予測していた言葉

確かに彼らから見れば、私は異端のものだろう


『・・・・・・・・・・・・通りすがりの人間です』

「ふざけないでくれる?君、何もないところから急に現れたよね?」


どこから見ていたんだ、と問いたくなるようにあぶりだされる感覚

どうするか考えていると、盛大な溜め息をつかれた



「俺たちは何も取って食おうって訳じゃねえんだ

ただ、お前がどうやって隊士どもを殺したのか、知りたいだけだ」

『・・・・・・・・・話せません、信じてもらえるとは思えない』

「・・・話さなければわからんだろう?」


近藤という男にそう諭され、また沈黙してしまうが

話さないと、この人たちは永遠にこの尋問を続けるだろう

・・・・・・しょうがないか



『・・・・・・なら、先ほどの少女にも説明したいです』

「・・・な、・・・はあ・・・斉藤、連れて来い」

「・・・・・・わかりました」





















タナトスの決断


(信じる信じないは、)(知ったことではない)

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