Heresy Doll

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どうやら、私たちは見てはいけないものを見てしまったらしい

屯所、というところにつれてこられた私たちは

一室に押し込まれ、縄で縛られる

・・・・・・この程度空間移動で抜けられるが、行くところもないためやめた



「・・・・・・」

『・・・・・・(息苦しい・・・これだけ取るか)』



口にされていた布は思いのほか苦しく、

とりあえず目の前に転送した


横にいる少女はここに来る前に気を失ってしまい、

今は静かに寝ているようだ


『・・・ふう・・・・・・この状況は・・・』


どんなことだ、と整理する


まず、元の世界でのこと


恐らくここは"新選組"という昔あった組織だ

確か新選組は、浅葱色の隊服を着ていた、という文献があったはずだ

しかし、自分が読んだものの中で

白髪の、しかも血に狂ったような人間はいなかったはず


そのことを元に仮定すると、


『・・・・・・ここは、ただの過去じゃない』


そう考えると、辻褄が合う


あの装置は完全ではなく、まだ研究段階のものだったとして

私の空間移動の力が加わって、システムと能力が誤作動を起こした

そして私は、過去ではない違う"世界"に飛んでしまった、と結論付けられる



『・・・・・・妙なことになったな・・・』



そうすると、恐らく自分はもうもとの世界には戻れないだろう

先ほどの空間移動で、この世界を普通に移動できたとなれば

能力はここで通常に使えていることになる


それは、能力を使っても帰れない、という結果にも繋がる



『・・・・・・・・・参ったな・・・、銃声がきこえない、なんて・・・』



あの戦争の音が聞こえないこの世界が、すごく平和に思えて物思いにふけっていると、

廊下から足音が聞こえてくる

まだ遠くだから、ここに来るのはもう少しかかりそうだ


知らぬ間に朝を迎えていたらしく、外からは白い光が差していた

ふと隣が身じろぎ、気の抜けた声が聞こえてくる



「・・・ん、・・・?・・・っ・・・」

『・・・・・・おはよう、少女』

「・・・!?・・・・・・ん、んん・・・」

『・・・誰か来たみたいだから、少し我慢しな』



襖が開き、優しそうな男性がこちらを見ていた

微笑んだ顔は、これから起こるであろうことを忘れさせるようなものだ



「目が覚めたかい?」

『・・・・・・おかげさまで、』

「!?・・・す、すまないねぇ、こんな扱いで」


少し身じろいだ顔で私と少女のことを見ると、布団をはいで縄を解いた



「・・・・・・あ、あのここはどこですか?あなたは一体・・・?」

「ああ、失礼・・・私は井上源三郎、ここは新選組の屯所だ」

「新選組っ!?」


少女はその名前に驚き、井上と名乗った男性は笑った


「そんなに驚かなくていい、・・・ちょっと、来てくれるかい?」


そう言って連れてこられたのは、大広間のようなところ


「さ、入って」


少女が最初で、次が私の順に並んで入ろうとする


井上さんが戸を開けると、昨晩聞いた声が聞こえた


「おはよう」

「・・・っ!」



そこに並んでいたのは、昨夜の男3人を含めた8人

眼鏡をかけた男性の一言で中に入り、昨夜の尋問が開始された















アヌビスは嘆かない


(この先の運命は、)(ここに委ねられる)

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