Heresy Doll

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共化45年 5月21日



第三次世界大戦が勃発し、

日本国は再び戦火に身をおくことになった


全ての能力者は、男女関係なく強制的に召集されることとなる



「神崎煉、ですね?」


『・・・・・・そうですけど』

「召集です。この国の未来のために戦っていただきます」



授業中廊下に響いた足音はまっすぐに私へと向かい、

クラスメイトたちの喧騒を無視してそう伝えられた



『・・・・・・拒否権は?』

「ありません。明日の正午、お迎えに上がります」



その言葉通り翌日正午、政府の人間が来た

そうして戦場へと送り込まれたことは、今でも鮮明に覚えている



***



ふと1年前のことを走馬灯のように思い出していると、ずしゃっという音が近くで聞こえた

その音にはっと振り返り地面を見ると、そこには仲間"だったモノ"があった



「(こいつもやるのか?)」

「(危険だ、慎重にな)」


近づいてきたやつらは、中国語を話しながら銃口を向けてくる

それに気づいた私は、視界の端に小さく見えている施設のような所に目星をつけ

そいつらが打つ瞬間に空間移動で移動した


が、思いのほか疲れているらしく、転送できたのはほんの4、50メートルで

すぐに見つかってしまう



「(逃げたぞ、あっちだ!)」


少しずつ転送を繰り返し、やっとの思いでその施設まで辿り着いた

中には多くの部屋があるため、簡単には見つからないだろう

ほっと息をついて辺りを見回す

自分が入った場所は機械や何かのコードで埋め尽くされ、

足場のないような場所だった

それらは皆、天井にある液晶のようなものにつながれている



この戦争が始まる前、タイムマシーンなどの研究をしていた施設があった

恐らく、ここもその一つだろうと思うが、

今まで見てきた中で一番荒れている場所だった



『(・・・・・・何か重要なものがあったりしたんだろうか・・・)』


電気は通じていないはずだし、機械で埋まっている床には特に目立つものはない

タイムマシーンが完成していたのだとしても、それはきっと軍事費用として用いられるだろう

あるいは、戦争が始まる直前、直後に完成し、報告を出す前に研究員が逃げたか


様々な考えが浮かぶ中、無意識に触ったボタンで全ての機械が光りだした


『な、!電気は・・・・・・自家発電装置が作動していたのか・・・!?』

「(こっちだ!)」

『・・・ちっ・・・見つかった・・・』


機械が作動したことによって、私の居場所を察知した敵軍がこちらに向かってくる

少し休息をとったからか、まだ幾分か能力が使えそうだ

そう思って空間移動をする、と同時に先ほどとは違う強い光に包まれた

一瞬意識を失いかけ、気が付いたときにはその強い光はなく



『・・・・・・どこ、ここは・・・』



目を開いて飛び込んだのは、日本の古風な町並みだった















崩壊するアンニュイ


(それが運命とも、)(わからぬまま)

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