白紙物語
□にい
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ホームルームが終わったこの教室棟は、ほとんどの生徒が消える
一年の始まりであるこの日、部活動はほぼ休みといっていいだろう
だからといってはなんだが、この日はいつも屋上へ足を運ぶんだ
空が無性に見たくなるから
屋上への階段は教室棟の奥の奥
人気の少ない教室が並ぶ階の端に位置する
こつこつ、と響く自分の足音を効果音に進む
階段を上り、ほとんど意味のなさない鍵がつく扉を開ければ
風が静かにそよぐ屋上に出る
・・・・・・はずだった
「ずっと好きでした・・・!」
・・・・・・・・・はて、今のはなんだ
「・・・・・・すまない、俺は」
「あの、いいんです!・・・聞いてもらえれば、それで・・・っ・・・」
「・・・・・・・・・、そうか」
・・・・・・所謂、告白か?
・・・・・・なるほど、屋上は確か告白スポットだった
ドアノブに手をかけたまま呆けて考えていると
足音がこちらに向かっているのが聞こえる
そして扉は開かれた
そこに立っていたのは、教室で隣の席に座っていた彼
「・・・!」
一瞬目を見開くと、私の腕を掴んで階段を駆け下りた