紅いくつ

□会議
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丸井が目覚める頃には辺りは薄暗くなっていた。



「・・・ブン太・・・・・・!大丈夫か?」

「・・・・・・ジャッカル・・・?・・・・・・と、・・・」


『・・・・・・神藤御槻、・・・です』



除霊の後霊があまり憑かないように丸井に残っている霊魂を消した。


これで今回のようなことは起こらないと思われる。




丸井も目覚めたし、外のやつらを入れるか。


『・・・黒楼、戻って』

《えー・・・》

『も ど れ』


《・・・う・・・・・・はーい》


黒楼が戻ったのを確認し、外のやつらに声を掛ける。


『・・・入ってきていいよ』


そういった途端勢いよく扉は開き、幸村たちが入ってくる。


「丸井先輩!」「・・・大丈夫かい?丸井」


「・・・・・・おう、心配かけてすまねえ」



顔色や態度が元に戻った丸井を見て、皆安堵の顔を見せた。


そして幸村がこちらを振り向く。


「・・・君にはお礼を言うと同時にどういったことが丸井に起きたのか、教えてもらわないといけない」


周りにいた人たちの視線がこちらに向いた。


『・・・・・・話すよ。全部、私のことも』


そういうと幸村は微笑み、まあ座ってよ、とベンチに自分も座る。


立っていたものたちは皆座り、私も空いていた後ろのベンチに座った。


『・・・まず、私のこと。・・・3年A組の神藤御槻』

「3−Aって・・・ふくぶちょーと柳生先輩のクラスッスか?」

「ああ、そうだ。神藤は柳生の席の隣でもある」


へー、と興味なさそうにまた私を睨み始める少年。


面倒だからこれから少年Aと呼ばせてもらおう。


「・・・・・・どうせ変なこと吹き込んで、丸井先輩になんかしたんでしょ。

俺たちに近づくためなら、女子って何でもするらしいッスからね」



少年Aはどうやら女子に嫌悪感を抱いているようだ。

一概に女子を一まとめにしないで貰いたいな。



『・・・黄色い声で騒いでるだけの女子と同じにしてもらっては困る』

「・・・・・・じゃあアンタ何したんすか。現に丸井先輩、おかしくなりましたよね」



少年Aがそれを言った瞬間、頭の中に声が響く。


《・・・・・・おい、御槻。俺出るぞ。》


『・・・・・・・・・まて、耀・・・っ!』


静止を命令したにもかかわらず、手遅れだった。


式として仕えている男の霊、耀がその場に出る。



キィンッ

「・・・アンタ何言って・・・・・・・・・ッ!?」

「「!!」」


急に現れた男に驚き、声を出すことも忘れたレギュラーたち。


《おい、お前》

「・・・え、俺・・・・・・?」


《・・・・・・のろ》


『わねえよバカ。静かにしろ、耀』

《・・・・・・御意》


突然のことに目を白黒させるが、今ので分かった。


耀が見えている、ということは全員"霊力持ち"ということ。



『・・・・・・この人は、私に仕えている式。耀っていいます』

《・・・・・・どうも。・・・言っとくが、俺はあんたらみたいな人間じゃない。霊だ》


「・・・・・・・・・やはり、丸井には幽霊が憑いていたんだね?」

『そういうことになる。・・・・・・気づいてたんだ』



頷く幸村についていけず、戸惑っている者たち。

その中で、さして驚く様子の見られない柳が問いかけてきた。


「お前は何者なんだ?先ほども昼休みも、呪文のようなものを唱えていただろう」

『・・・私の家は、皆霊媒の仕事をしていてね。私も能力を持ってるんだ』


ほう、と一つ納得したようにノートに書き記す柳。

・・・・・・いつ取り出したんだ?


「・・・・・・そんな非科学的なことが起きたのか?」


そう言ったのは真田弦一郎。

一番そういったことを信じなさそうな性格をしているやつだ。


案の定食いついてきた。


『・・・・・・私がここにいる以上、それとさっきの丸井のことを知る以上、

認めざるを得ないんじゃないの?真田』


「む・・・」


難しい顔をして黙り込んだ真田の次に問いかけてきたのは


ことの渦中の本人、丸井ブン太。


「・・・・・・俺、ここ最近の記憶がねえんだ。何するってことじゃなく、ボーっとしちまうっていうか」

『それは君についていた霊の仕業。もう祓ったから問題はないよ』


「・・・・・・おまん、呪文唱えとるとき雰囲気が変わってたぜよ」

『いつもそうなんだ。霊とかかわっているときはなるべく優しさを出さないほうがいいからね』






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