love story

□そうやっていつも・・・
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皺ひとつない彼のブラックスーツ

汚れ一つない彼の靴

そして

腰に隠した

冷たい拳銃。



私はいつも彼のそんな姿を眺めている。

背筋が曲がることのない、彼の潔い後ろ姿を
迷いのない横顔を



届かないとわかっていながら・・・・・




【そうやっていつも・・・】


私は、まだ若い、新米のタークスだ
成績はいたって優秀
銃の扱いには誰にだって負けない。

そんな私が

自らの傲りだろうか

初の任務で失敗をした。

最後に覚えているのは血まみれになった自分の体と
次々と襲いかかってくるモンスターたち。

朦朧とする意識の中
必死で逃げた。

足下がおぼつかない。
銃に弾はもう残っていない。

足場の悪い森の中をひたすら走った。
走るたびに足ががくつき
意識が飛びそうになる。

それでも、戻らなければ。


思いだけが先走って、足下のぬかるみに気づかず
倒れ込んでしまった。



もう意識は限界で、目を開けていられなかった。
体中の痛みは極限に達し、呼吸もうまくできない。

「ここで、死ぬのか・・・・」


私は確信した。私はここで死ぬのだ。

脳裏をよぎったのは

ツォンの姿だった。

こんな時、彼ならどうするだろう。
彼なら、こんなヘマはやらないか。


私は彼の為に何一つ役に立てなかったのだ。
ああ情けない。


彼に最後、もう一度会いたかった。


私は意識を失った。
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