おもちゃ

□ねぇ…。
1ページ/1ページ


今日は和が久しぶりに遊びに来る。

彼は芸能人だし、
アイドルだし、嵐だし…、

頻繁に会える訳じゃない。
今日だって2ヶ月ぶりだったりする。


約束の時間は夜の11時。

けど…

今はどう考えたって
1時を回ってる。


「何かあったのかな…」


独り言を言ったって
返事が返ってくるわけでもなく、

いつも仕事で遅れるときは
必ずメールをしてくるのに、

今日は全然メールも来ない。



ピピピピピ…


いきなり携帯が鳴った。



「……もしもし?」

『もしもし?名無しさんちゃん?』

「え、はい。どうかしましたか?」


電話主は
和ではなく、櫻井くんだった。


『あのさ、今日ニノと会う約束してたよね?』

「あ、はい。…してました。」

『だよねぇー……』

「あの、和がどーしたんですか?」

『うん。あのね、さっき収録終わったんだけど、ニノさぁめっちゃ顔色悪くて、心配になって熱はかってみたんだけど……39度もあってさ。なのに名無しさんちゃんに会いに行くって利かなくて……俺ら止めたんだけど、さっきスタジオ抜け出しちゃったみたいで。気づいてると思うけど、見事に携帯忘れてるし…(笑)きっと今からニノ来るからさ、よろしくね?』

「あぁ、はい……。」

『……大丈夫?』

「え?」

『いや、元気ないなぁと思って(笑)』

「そんなことないですよ…(笑)あまりにも遅いから、ちょっと心配し過ぎてたんです。」

『そっか(笑)じゃー、…よろしくね?』

「はい。頑張ります(笑)』


ツーツーツー……

電話が切れた。



って!!

何でスタジオ抜け出してまで
家にくるのよ!

本当に困った29歳だなぁー…(笑)

それから20分くらいして……


ピンポーン……

あ、来た。



「はーい……」

『名無しさん、俺だけど……』

「うん。今開けるね?」

『……うん。』



ガチャッ……



「おかえ…ドサッ


扉を開けた瞬間、
和が倒れ込んできた。


「ちょっ、和?大丈夫?」

『あぁー、うん…。』

「とりあえず、中入ろっか。」


倒れ込んできた和は
得たいの知れないほど熱っつくて、
一瞬ビックリした。

私は、和の腕を自分首に回して
さすがにおんぶは出来ないから、
そのまま引きずって寝室まで運び、
私のベッドに寝かせた。




「ねぇ、大丈夫?」

『…うん、ごめん。』

「謝ることじゃないよ。でもさ、何でスタジオ抜け出したの?」

『え、…何で知ってんの?』

「さっき櫻井くんから電話来たの。ニノが高熱あるのにスタジオ抜け出した。って。」

『あー、マジか……(笑)』

「いやいや(笑)笑い事じゃないですよ?』

『…そーだよなぁ』

「まぁとりあえず、冷えピタ貼ろ?」

『……うん。ありがとう。』


私は和の横をあとにして
冷蔵庫に冷えピタを取りに行った。


「はい、おでこだしてー。」

『…はーい、』


ピタッ


『ありがと…名無しさん』

「気にしないでよ。それより早く寝な?ね?」

『……うん、』

「じゃー、私お粥作ってくるから。何かあったら呼んでね?」

『…………』



私はお粥を作りにキッチへ行こうと
立ち上がった。

ガシッ


「…え?」


和が私の腕を掴んでいた。


「…和?」

『行かないで………』

「え?どーしたの?」

『……だから、俺の横に居て…』

「…(笑)、今日はずいぶん甘えるねぇ、ポーカーフェイスのニノちゃんはどーしたの?(笑)」

『……うっさいよ。』


それから和のすぐ横に座って
和の手を握った。


『…名無しさん、好きだよ……』

「うん(笑)、知ってる。」

『……名無しさんは?』

「……え?(笑)、……好きだよ?」

『……んふふ。知ってる(笑)』

「何よ、これ(笑)」

『……わかんない(笑)』

「はい、風邪引きさんは早く寝てくださいっ」

『……はーい、』



そのあと和は
幸せそうな顔で眠りに落ちた。

……朝




『…あれ、朝か…。あ、』


俺のすぐ横で、
名無しさんが綺麗な寝顔で
眠っていた。


『名無しさん、ありがとな…。』

「……ん?和、起きてたの?」

『いや、今起きた。』

「あっ、熱は?だるくない?汗かいてない?」

『そんなに一気に質問すんなよ(笑)』

「あー、ごめん(笑)そーだ。今日仕事は?」

『うん、今日は無いです。』

「え?、無いの?」

『そー。昨日やったら頑張ったからね。』

「あははっ(笑)、だから熱をだすんですっ」

『そーなのか?(笑)』

「じゃっ、今日は1日寝ててくださいねぇ」

『えー?ゲームしちゃダメ?』

「ダメに決まってんでしょ?また熱でたらどーすのよ。」

『わかりましたよー。』



そのあと2人はずーーっと
手を繋いで、寝ていましたとさ。




『ねぇ、名無しさん』

「んー?」

『……好き』

「…知ってる(笑)」

『名無しさんは?』

「……好きだよ。」

『「…知ってる(笑)」』

『「 んふふ(笑)」』




--end--
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ