一なる元素とは

□犠牲
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真っ黒な彼の命が今終わろうとしていて。
私は私の命を捨ててでも彼に生きてほしくて――




そんな夢を見て目を覚ました。




ゆっくり目を開けば視界が悪く片目しか視えない。
何故だろう、と手で確認すれば布で覆われているようだ。
そのまま、起きあがろうとすれば身体のあちこちが痛んですぐに起きあがった上半身が元に戻ってしまった。

「…っつー…、ここは…?」



その痛みのおかげで自分の置かれていた立場がわかり脳が覚醒した。
だが、いたのはP.A.N.D.R.Aの楪那の部屋、のベッドだ。

その場所の変わりように自分が意識を失っている間に何があったんだと首を傾げた楪那。





仕方が無しに念動力で移動しよう、と能力を使えばベッドから出てすぐに能力が使えなくなってしまう。



つまり、楪那は床に落とされた状態だ。

「えっ!?」



そう驚いた後すぐに、楪那の部屋からドスン、という音が聞こえた。



「ーっ…ってて、骨が軋むわ…」

背中から叩きつけられるような状態で落ちた楪那は起きあがれず痛みに顔を歪めていた。

さて、そう言ってもう1度念動力で起きあがろうとするが反応がなくずっと床に寝転がっている楪那。
どうしたものか、と考えていればバンッ、という音が聞こえた。

どうしたのだろう、片目の視えない視界でその原因を探せば




「起きたのかっ!」




そう焦った様子の葉が息を切らせながらドアノブを握っていた状態なのを確認した。


「お早う、」
床で寝ている状態で挨拶すれば葉はすぐ駆け寄って抱き上げようとした。



「ちょっ!?良いです良いです良いってば!!」
そう暴れる楪那。暴れるといっても痛みの内容に小さくジタバタする程度だ。

「暴れんな。怪我人」



そんな抵抗は空しく結局、抱き上げられてしまったのだが。



「〜〜っ!…ア、アリガトゴザイマス」
父親にしかされた事の無かった為、変に意識してしまってみるみるうちに顔が真っ赤になる楪那。

楪那の様子を見て自分のしている事を理解した葉はすぐに楪那のように赤面して「勘違いすんなよっ!!」と言った。








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