アンケ&リク小説

□『バカップルの話』(高尾)
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「宮地先輩、聞いてください!」

「知るか。」

「ヒドいです!!血も涙もないんですね!」

「お前の話を聞くとろくでもないからな。」

どうせ、高尾と何かあったんだろ。あ、主にノロケとかで。

呆れた口調で宮地先輩に言われて、思わず、う、と息が詰まる。

確かに、確かに毎回、宮地先輩には我が彼氏、高尾和成とのノロケ話を聞いていただいているのだが。

「・・・・今回は、ちょっと、違くて、」

「・・・・・、んだよ、」


聞いてくれるんですね、優しいなあ、先輩は。

なんて、うまく笑えずにへら、と笑みを作ると、いつまでもそんなんでいられると気持ち悪いからなって言われた。










「で、なんだよ。」

今私と宮地先輩がいる場所は、昔、異文化研究会という部活があったところで、今は空き教室になっているところだった。

「えっとですね、和成とのことなんですけど。」

いつも高尾のことだけだよな、お前って。
そうすぐ返されたが、私の全てですからねえ。と自信たっぷりの笑みで言うと、めんどくさいといった顔で、で?、と話の催促をされた。ひどい。



まあ、私の話はこうだ。

私の彼氏、高尾和成と付き合い始めたのは、この高校、秀徳高校の一年の時である。
たまたま私が中学時代の先輩でもある宮地先輩の応援に来ていた時に、私は生まれて初めて一目惚れ、というものをしたのである。
後日談では、和成も私に一目惚れをしてくれていたらしいのだが、まあ、それはさておいて。

大事にしてくれているのもわかるし、好きという気持ちも伝わってるし、不満が募っているわけではないのだ。

私にとって不安なのは、付き合い始めてから早1年経とうとしているのにも関わらず、一回もキスすらしたことがない、ということだった。

デートをするにも、手をつないだりはするけど、なんか、友達の時と変わらない、というか。

うん、わがままだということはわかる、けども。でも、だ。




「不安なんですよぉおおお!やっぱり、好きじゃなくなっちゃったのかなあ!他に好きな人とか出来ちゃったのかなあ・・・・っ」

「お前、馬鹿だろ。」

「え、宮地先輩、今日はいつにも増して辛辣なんだけど。」

「たりめーだろ。お前が馬鹿なことしか言わねーからだよ。」

ひどい!と宮地先輩にきゃいきゃい喚いていると、うっせ、と頭を掴まれた。

「いいから、聞け。落ち着けよ、」

助言してやるよ、とニヤリと笑った宮地先輩にやっぱりカッコイイと感じて、思わず押し黙ってしまった。




「_________」

「_____?」

「________!」




そして私は、その場から急いで立ち去った。

彼氏、高尾和成ときちんと話をするために。

















「めんどくせー、ほんと。






頑張ってこいよ。馬鹿じゅり。」
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