透明で七色の世界(krbs)
□第2Q 『見つけてあげるよ』
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人の慣れって、怖くない?
転生トリップだと言うことに気が付いたのは、
・0歳スタート。
・純日本の黒髪に黒い瞳から、暖かい茶髪に青緑の瞳に変わっている。
・目が異常にいい。+a、無駄に豪華特典付き。
の、三点からである。
そして、この目だが、
黒子のバスケのホークアイである。
黒バスファンならお分かりだろうが、高尾くんでお馴染みの、あの目である。
と、いっても、それの何倍も高性能だが。本気でやらなくてもざっと500m範囲は見えるんだよ、この目。凄くない!?チートだよね!!
…え、+aが気になる?
……脚が速いんです。異常に。特に小回りが。
あと、分析能力とか凄いし。
…でも、まぁ、白いリボンを特典に付けてくれたのだけは、感謝している。
ま、そんなこんなで、今のところは小1です。
園児時代はどうしたか?
やだなあ、あんなブラックな過去を聞くなんて、野暮ってもんですよ。
まあ、なんとか小学校に入学したわけですが、
うん、
周りに着いていけないから、よく図書室に通うようになった。
ぼっちとか思った君、ボコりますよいえすみませんそんな力量なかったです。
…仕方ないじゃん。心は中3だぜ?周りが子供だと、ね?
まあ、そんなこんなで、誰もいない図書室にいつものように本を返しに行くと、水色の髪が目に止まる。
あれ?今日は休館日だよね?
僕以外の人間がここにいるのは珍しい、と近づくと、向こうも気付いたようで、
「今日は休館日ですよ?」
と、言った。
知ってるけど?と首をかしげると、
そうですか、と、どこか暗い顔でうつむいてしまった。
…どうしたのだろうか。何かあったのだろうか。
『辛いことあったなら、聞かせて?』
ふ、と気付いたら、自分はそんな無責任なことを口走っていた。
ぱちくり。
そんな効果音が付きそうな具合に、水色の少年と顔を見合わせていた。
あ、やべ、お節介だったかも。
「いや…知らない人にそういうことは…。」
…まあ、そうなるよね。
でも、一度乗りかかった船だし、関わらせて欲しい。
少しでも、君の力になれるなら。
『僕は透乃じゅり。君は?』
「え……く、黒子テツヤです。」
『ん、いい名前だね。じゃあ、これで知らない人同士じゃないねっ!』
「…へ?」
ポカンとする彼を他所に、僕は一人笑ってみせる。
僕が前世で使った、笑顔になれる必殺技。
まあ、実際ウケたのは片手で数えられるほどだったが。
それでも、彼、黒子テツヤくんは、うっすらと笑みを浮かべてくれた。
やっと、笑ってくれたね、と微笑むと、段々、ぽつり、ぽつり、とうつむきながら話始めた。
「僕は、昔から影が薄くて、
誰にも気付いて貰えなくて、
どこにいるのかと探されて
自分は、いてもいなくても、変わらないんじゃないかって、
だから、僕は……っ!!」
ぽろぽろ、と黒子の頬を涙がつたう。
自分も昔、そんな時があった。
嫌われたときの、初めの頃の僕。
誰も話してくれない、透明人間の自分。
守りたい。支えたい。
自分がそうしたい。
気付けば僕はそんなことを思い、黒子を抱きしめていた。
黒子は驚いて目を見開いていた
が、今の僕には関係無い。
『…その時は、僕が見つけるよ。』
「!!!??」
『いくらでも、いつでも僕が見つけていれば、君は一人じゃないよね?』
ニコッと効果音が付きそうな具合に微笑むと、また泣き出してしてしまった。
もう、お互いにひとりでは無い。
でもその涙は、温かい。
(……本当に………っ?!)
(うん。僕は有言実行だよ?)
(絶対……ですからっ…!!)
(うん。約束するよ。)