浮気なボーイ
□事件file7
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サンサンと照る太陽の下、私は隈男の前にたっている。
昔の思い出を少し思い出しながら。
隈男は全く言葉を発そうとしない。
あー、もう、おまえが私をさらったくせになんだとゆうのだ。
となりのペンギン男も、ベポくんも突っ立ったまま。
このままじゃ埒があかないと思った私は、一言とりあえず隈男に嫌味を言ってやろうと口を開いた。
「私には、シャチがどうしてあなたをそんなに慕っているのか分からない。」
思ったことをそのままストレートに口にすると、ペンギン男は隈男の横で苦笑いしていた。
「くく、別にお前に慕ってもらおうなんざ思ってねぇが??」
「当たり前でしょ、気持ち悪い。」
いつもこうやってへらへらしてるし、
人のことを馬鹿にしてる。
だから気に入らない。
「あいつにも慕ってもらおうなんざ思わねぇけどな」
やけにハッキリと澄んだ声で言うものだから、少し驚いた。
普通、仲間たちには信頼して欲しいと慕って欲しいと思うものだと思っていたから。
それに彼の放つ雰囲気が急に凛としたから。
彼の心情が読みとれず、じっと黙っているとまたくつくつと笑いをこぼしはじめた。
「只、おれが見てみたいと思ったんだ。」
そう語る瞳はいつも私が見ていた眼より幾分輝いていて
「シャチといっしょに、この世のすべてを」
あれほどこの人には似合わないと思っていた、空の青、海の青が
「おれたちの夢の果てを」
トラファルガー・ローのために創られたもののようにさえ思えた。
ほんの数分前までの印象は、海風に飛ばされたかのように姿を消し、
あ、惚れた。
そう気がつくのに、そんなに時間はかからなかった。