浮気なボーイ
□事件file1
1ページ/1ページ
北の海に浮かぶ、平和でのどかな島
冬に降る雪は夏になって、やっと雪解けを始める、今は丁度その季節。
やっと純白の世界から解放されて、みんなが浮き足立つ、そんな季節。
その島に住む私には、最近大きな悩みができた。
それは、生まれた時から殆ど弟妹の様に育ったある男が隣に居ないこと。
数日前までならば、こうして朝食を届けにくれば必ずこのドアから顔を出したはずなのに…!
二階に上がって、ドア開けると…ほら、居た。
丘に建っていて見晴らしが良いこの家から見える、海岸の砂浜。
目を少し凝らせば見える、見慣れた顔。でも、私が知っている彼の顔とは少し違うのがまた悔しくて。
生まれてからずっと一緒に居るせいか、私の好きなものは彼の好きなものになっていて、彼の嫌いなものが私の嫌いなものになっていた。
でも、やっぱり、アイツだけは好きになれない
キラキラとした瞳で、にこにこと笑う彼。
その姿は、クリスマス前夜の子供みたい。
いつも彼が大人っぽいって訳じゃないけど、私の見たことのない顔をしているのが凄く気に食わない。
その視線の先にいる、隈の男が気に食わない!
隈の男がシャチの頭を小突いた瞬間、思いっきり叫んでしまった
「シャーーーーチ!!!こんの浮気者ォォォォォォォォ!!!!!!!」
小高い丘に建つ、家のベランダから 勢いよく飛び降りれば、焦るシャチの顔が見えた気がした。
そしてその隣で涼しい顔して笑っている泥棒猫。
海軍さま!来て下さい!
今まさに、私の大事な幼なじみが海賊に攫われようとしております!