武器マス

□デストレイン、修羅場
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大きな銃声音が、デストレイン内に反響している。
挑戦者の相手をしに名無しさんが向かってから、かれこれ1時間半が経過した。


「音が絶えませんね、執務室まで聞こえてきます。」

「……名無しさん、遅い。苦戦しているのかな?」

「あの子の強さで苦戦は考えにくいですが…。わたくしたちも行ってみますか?」


ノボリの言葉にすぐ頷き、クダリは押入れから斧とチェーンソーを取り出す。
斧をはい、とノボリに手渡し、クダリはチェーンソーの電源を入れてみた。


「…うん!ちゃんと動く、準備オッケー!」

「……危ないですから、今はあまり動かさないで下さいまし。行きますよ、クダリ。」


はーいと返事をしたクダリとともに、ノボリは執務室を出てデストレインへと向かった。























「…どうしましょう、これ?」



最奥部の車両で右足から血を流しながら、名無しさんは小さくため息を吐いた。

挑戦者をかく乱させるために動き回っていたところ、誤って罠のスイッチを踏んでしまったのである。
その瞬間、椅子の下から隠し銃が発射され、今に至るという訳であった。



「……それにしても……。」


そう言って名無しさんは前を見据える。
このチャンスを逃すはずもなく、挑戦者たちが一斉に武器を構えていた。


「本日はお客様が多いですね…。攻撃対象をお間違えのないよう、十分にご注意下さいな。」


殺気を出す挑戦者たちにムチで迎え撃とうと動いた矢先、名無しさんの右足に激痛が走る。


「…っっ!!?」


思わずガクンと膝をついた瞬間、彼らは一斉に襲いかかってきた。








「………?」


しかし、いつまで経っても衝撃が来ない。
不思議に思った名無しさんがそっと目を開けると、黒と白のコートが彼女の視界を覆っていた。



「危なーい…。大丈夫だった、名無しさん?」

「お怪我は……酷いようですね。後で手当て致しましょう。」

「ノボリ兄様、クダリ兄様…?どうしてここに!?お2人こそ何処か怪我は…!?」

「大丈夫、全然やられてない。」

「名無しさんは動かないで下さいまし。一気に片付けますよ、クダリ。」


クダリが頷いたのを確認し、ノボリが一瞬で挑戦者に迫る。
重量感のある斧を軽々と振ると、あっという間に真っ赤な液体が飛び散った。


「あはは!ノボリすごい!」

「そちらにも向かっておりますよ、クダリ!!」


ノボリの攻撃を避けた挑戦者が、クダリの後ろにいる名無しさんを狙ってくる。
しかし、そんなことはさせないとクダリはチェーンソーを構えた。


「ダーメ、名無しさんには手出しさせない。」


鋭い金属音に混じって、挑戦者の断末魔が響き渡る。
名無しさんの元に近付くことなく、彼らはただの肉塊となっていった。
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