七人隊〜蛮骨の恋唄〜

□帰郷
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…その頃蛇骨は一人、自室で考え事をしていた。


蛇骨
「俺が初めて好きになった女…か。」

蛇骨は自分が言った台詞をもう一度口に出して言ってみた。

蛇骨
「姫莉は、兄貴の事大好きなんだろぉなぁ…。」

深いため息をもらすと姫莉を抱きしめた感触を思い出す。

蛇骨
「女って、あんな小さくて柔けぇんだなぁ。」


姫莉の顔を思いだしながら、布団の中で目を瞑った。

蛇骨
(俺、変わっちまったなぁ…。)

蛇骨はいつの間にか眠りに落ちていた。



…蛮骨たちは。

姫莉
「蛮骨、あたし眠いからもぉ寝るねー。」

姫莉は立ち上がり自室に戻ろうとした。

蛮骨
「おう、じゃあな!」

煉骨
(待て、姫莉!俺だって眠いんだぞ!お前は俺を一人にするのかぁ!)

煉骨は必死で姫莉に視線を送る。

姫莉は気付かずそのまま階段をあがっていった。

煉骨
(嘘だろ…。このまま朝まで大兄貴の語り相手かよ!)

心の中の泣き叫びの声はもちろん蛮骨に聞こえるはずがなかった。



…姫莉は自室に戻ると隣の部屋の蛇骨の襖をゆっくりと静かに開け覗いた。


蛇骨は眠っていた。
それを確認すると静かに襖を閉めた。

姫莉
「はぁ…。」

ため息をついた瞬間、蛇骨の部屋の襖が開いた。


姫莉
「蛇骨、起きてたの?」

蛇骨は何も言わず静かに姫莉に近寄ると、そっと姫莉の頬を撫でた。

蛇骨
「抱きてぇ…。」

蛇骨は切ない目で姫莉を見つめながら言った。

姫莉は黙って蛇骨の瞳を見つめた。

蛇骨
「俺ぇ、姫莉が抱きてぇよ。」

姫莉
「蛮骨いるから駄目だよ。」

蛇骨
「兄貴居なかったらいいのかよ?」

姫莉
「…駄目に決まってんでしょ。」

蛇骨
「なんでだ?姫莉が兄貴の女だからかよ?」

姫莉は何も答えずにうつむいた。

蛇骨は姫莉の顔を上に向かせ、柔らかい唇に接吻した。

甘く、とろけるような、深く深く交わっていくような…。

蛇骨
「姫莉見てると、抑えられねぇよ。」



姫莉はただ黙って、蛇骨を受け入れるかのような瞳で見つめていた。

蛇骨は抑えられない感情を無理矢理押し込め、そっと姫莉の顔を手で撫でた。

蛇骨
「ごめんな。」

そう言うと蛇骨は自室へ戻っていった。

姫莉は蛮骨への罪悪感と、蛇骨への愛しさを感じながら寝巻きに着替えると、布団の中で目を瞑った。
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