捏造回顧録

□捏造回顧録6
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数日後、瓦版の配達途中、オレはたまたまバラガキの喧嘩を見かけた。
こんな早朝に…

走り抜けながら何人も木刀で打ち負かしていく。
強い…!!
バラガキ、やっぱ強ええええ!!!!


オレは改めてお母上に尋ねた。

「やはりお父上は徒者ではないのですか?」
「あら、まだ訊いてなかったの。ちょっと、あんたー!あんたー、退があんたに話があるってー!」

お母上がお父上を呼んだ。
オレはお母上にお尋ねしてるというのに。はぁ…

「おっ?なんだなんだぁー?あれか、男同士の内緒の話か?」

何となく、この人のこういうノリがあんまり好きじゃなかった。

「そう言う話なら私は席を外しましょうかねぇ。退、大人になるのよ!」
「いえ、お母上、そう言うんじゃないんで居て下さいよ」

そんで、何でお母上もノるかな?!

「おうっ、で、話って何よ?」
「お父上は、徒者ではないんですか?」
「ん?何の話だ?」
「ほら、あの時のバラガキやっつけたって話。あれからこの子、あんたが何者か気になってるみたいなのよ」
「お父上は、相当お強いんですか?」
「強いかどうかはわかんねぇけど、うーん…」
「父ちゃんは、先代将軍にお仕えした元御庭番衆よ」
「え?!」
「いやぁー、もう、とうに昔の話だよ。そうだよ、俺、元忍者。だから、忍術には少し覚えがあるって言ったろ?」
「あの頃はあんたかっこよかったのにねぇ。今じゃ徒者よ。徒者」
「あぁ今は徒者の農民だけど、俺は今でもかっこいいだろ?なぁ母ちゃん〜」

あーもうそこでいちゃつかないで貰えるかな?!実の子だとしても親がいちゃつくの見るの相当気まずいけど、オレ、他人だから!!気まずいの通り越して、家出するレベルで居たたまれなくなっちゃうから!!

「だからよ、おまえに忍術教え込んで芽が出りゃ忍術学校でも開いて一儲けしようと思ってたんだけどなぁ」

そう言ってお父上は手拭いを持って外へ出て行った。
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