メインの弐

□山崎を襲う惨劇
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目を覚ますと、オレは布団の中にいた。
ここは…?
慌てて起きて辺りを見回す。
広い一人部屋…

スッと襖が開いて、そこに立っていたのは

「ザキ、起きたか」

局長!!

「あっオレ、あの、え?これ…」

慌てて布団から飛び出て姿勢を正して正座した。

「まぁ、そう慌てるな。寝てていいぞ」
「はい?」
「疲れてるんだろ?寝てていいぞ」
「いや、そう言うわけにも…」

局長はオレの側まで来ると、水差しとグラスを乗せた盆を置き、オレを布団に押しやった。

「水、飲むか?」

え?それ、オレのために持ってきてくれたんですか?

「あの、局長?」
「あんなところで寝てちゃ風邪ひくだろ。何やってんだお前は」

あぁ、オレ、昨日あのまま寝ちゃったのか?
屯所玄関から監察方の部屋に戻る廊下の途中で、ほんの少しと思ってしゃがんで目を閉じたら、そのまま眠りこけたらしい。

「トイレに起きたらお前が廊下に落ちてるんだもんよ、ビックリしたぜ」

局長は笑いながらそう言った。

「運んで下さったんですか?」
「だってお前、声掛けてもひっぱたいてもビクともしねえんだもん。死んでんのかと思ったよ〜」
「それは失礼いたしました…」
「そんな事はいいから、お前今日は寝てていいぞ」

そう言って、局長はオレの存在はお構いなしに隊服に着替えだした。

「あ、もうそんな時間ですか?オレも着替えてこないと…」

布団から出ようとすると

「ザキ!今日は寝てろって言っただろ!」

一喝された。

「いえ、でもオレどこも悪くないし、仕事もあるし、休んでる場合じゃないんです」
「駄目だ。局長命令だ。お前最近ろくに休んでないだろ。夜中にフラフラになって帰ってくるの、俺は何度か見てるぞ。それに最近顔色も良くない。身体だって、少し痩せたんじゃねえのか」
「でも、任務ですし…」
「バカかおめえは。いいか、ザキ。体調管理の出来てない奴が、いざという時命を落とすんだ。それじゃ困るんだよ」
「ですが…」

報告書だって出来てない。早く提出しないと副長にドヤされる。その上、局長に言われたからって、どこも悪くないのに休んでたなんて知れたら、切腹させられるかも…

「そんな顔すんな。心配なら要らねえ。トシのことなら俺が何とかしとく。それに此処なら、誰も無断で入って来やしねえから、ゆっくり出来るだろ?な。だからお前は休んどけ」

局長は、振り向き様に親指を立てたポーズで爽やかに笑って見せた。でも、ズボンのチャックが開いたままだった。
オレが何か言う隙を与えない様にか、さっさと部屋を出て行った。
チャックが開いているのを教えてあげられなかった。
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