メインの弐

□仕事
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「浮かない顔してるね。どうしたの?」
「えっと…あんたは?」
「あ、ごめん。急に話しかけて。オレは監察方の山崎。君は、藤堂の所の隊士の、中嶋君だよね」
「あ、あぁ…よく御存知で」
「まぁね、監察だから」

人当たりがいいのも仕事の内。
懐に入り込んで、僅かでも隙を作らせる。
手っ取り早く隙を作らせるには、

「監察方って知ってる?裏方仕事ばっかやらされてるんだけどさ、副長直属で仕事回されてるの。あの人、人使い粗いし厳しいし、正直しんどいよ。その割に目立たない仕事ばかりだし給料安いし…」

愚痴をこぼす。
愚痴は誰しもが持つ不満、万人に共通する話題。そしてその中に共通の敵を現し、仲間意識を持たせる。

この中嶋という隊士、実はつい先日、土方さんと直接やり合っている。
「死番をやりたくない」と直訴したのだ。

死番というのは、斬り合いになった際、いの一番に斬りかかりに行く「特攻」の役目だ。
全隊士に、平等にローテーションでその役目は回ってくる。
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