メインの弐

□結ばれず、ほどけていく
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どうして、こんな安心しきった顔で寝ていられるんだ。
オレ達は


敵対し合う者。


隙だらけじゃないか。
いつでも寝首を掻ける状況だ。
オレをなんだと思ってるんだ?

「万斉…」

唇だけを動かして、声に出さず呟いて、
その頸もとに手を伸ばしてみる。

ぴくりともしない。
危機感無しか。

伸ばした手の、人差し指の指先で、万斉の頸もとをなぞる。

「ん…」

万斉が眉をひそめ、薄い反応を示した。

「退殿」

万斉の頸もと近くにあるオレの手首は咄嗟に掴まれた。
薄目を開け、オレの顔をじっと見つめ、ふっと笑った。

「退殿は拙者を殺さないでござるよ」
「何を、決めつけたように」
「そうに決まってるでござる。拙者には解る」

そしてそのまま引き寄せられ、万斉の腕の中に収まった。

あの時、万斉はオレを見逃した。
殺さなかった。
どんな意志で、どんなつもりで…

あの時、病院に運ばれた経緯も、後から聞けば匿名の通報だった。

許せなかった。
武士として、情けを掛けられた自分が。
そんなことをするこいつが。
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