メインの弐

□正しくあることの是非
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昼休憩を挟んで合否発表、か。
ちょっと厠にでも…

厠を探して敷地内をうろついていると、人気のない物陰に人の気配を感じた。

ん?

「ちょろいな。新規隊士募集試験なんて、どんなもんかと思いきや、筆記、実技、面接なんて、その辺の企業とかわりゃしねぇ」
「だな。実技もその辺のちょっとした腕自慢レベル。何よりあの面接、これで落ちる方が難しいだろ」
「何が泣く子も黙る真選組だよ、なぁ?脇があめぇんだよ。こりゃ俺達が潜入できたら、あっという間に崩壊だな」

なんの話だ?
ま、オレには関係な…

ん?あいつ等どこかで見た顔…

カサッ

やべっ、落ち葉踏んだ!気付かれた!

「誰だ?」

振り返った二人の顔をはっきり見た。思い出した。
昔のバイト先の居酒屋の常連客の…
あれ?つーか、あいつ等

「あ…いやぁ、厠を探してたんですけど、ってあれ?もしかして、川上さんと吉岡さんじゃありません?」
「あ?お前誰だよ?」
「オレ、数年前文月って居酒屋でバイトしてたんですけど、そこの常連だった川上さんと吉岡さんですよね?」

二人は顔を見合わせて、もう一度オレの顔を見ると、どんな思考でそう至ったかは分からないが、安堵の表情を浮かべた。

「あー、文月の、ね。なんだお前も入隊希望か」
「わりぃな、俺らお前のこと覚えてねんだけどよ…お前、俺らの名前まで覚えてたのか」
「あ、いえ、オレは地味だから覚えられてないのは別にいいんすよ。そのかわり、記憶力は良い方なんで」
「そうか、ちなみに今は吉岡、川上じゃねぇ。田中と山田だ。それも覚えとけよ」
「あ、そうなんですか?改名されたんですか?それとも…ここに忍び込むための偽名…」

小声でそう言うと、一人はシッとオレを制止し、もう一人は回りをきょろきょろと伺った。

この二人はあの居酒屋に通う頃からすでに攘夷の徒党を組んでいた。
オレは覚えている。
いつもこの二人が酔ってはデカくアツい夢を語っていたことを。

オレはこの二人にノってみた。

「実はオレも、在る党からの依頼で…」
「お前もか」
「おっと、こんな人気のないところでこそこそしてたらその内怪しまれますからね。お互い他言は無用って事で、もう行きましょう」
「あぁ、そうだな。お互い頑張ろうな、明るい未来のために」

へへっと笑いながら、川上と吉岡は去っていった。
さて、どうしたもんか。

オレには正直、正義と悪とか、敵と味方とか、そんなものはよく分からない

何が正しくて、何が間違っているのか位は分かる。
この状況に於いて…
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