メインの弐

□青い春を思う
2ページ/3ページ

その日の放課後、

「ジミー、ちょっと話があるネ。今、時間ヨロシ?」

デジャブが起こった。
山崎は神楽に手首を掴まれる前に鞄を持って席を立ち、とりあえずの笑顔を神楽に見せて、
「じゃ、一緒に帰ろうか?」
提案を持ち掛けた。

校門を抜けたところで切り出したのは神楽だった。

「やっぱり、怖いアル…」
「沖田さんのこと?」
「ん…面倒臭いと思われるのが、怖いアル」
「いやぁ…そうは言ってもやっぱり女の子の初めては、男だって嬉しいと思うと思うんだけどな」
「アイツはきっと、そんな普通の神経持ち合わせてないアル!」

すごい否定のされ方だな、沖田さん…
そう思いながら、山崎は苦笑いを浮かべた。

「チャイナさんは、沖田さんと、そのぅ…どうなりたいと思ってるの?」

神楽はきっと純粋に、沖田のことが好きなはずで、普通なら「付き合いたい。彼女になりたい」と思うはずなのに、きっとそう思い至れないで居るのだろうと山崎は確信していた。

「今のチャイナさんの考え方だと、結局沖田さんの都合の良い女にしかなれないよ」
「わかってるアル…でも、面倒臭いと思われて嫌われるよりはずっと良いアル!側にいたいアルヨ!」

それは、沖田の性格、パーソナリティが女をそうさせていることも、山崎は理解していた。
最早溜め息しかでない。

なぜならこんな相談を受けるのも、山崎にとっては初めてのことではなかったから、だ。
しかも、沖田のことに留まらず、土方を好きだという女も、決まって山崎にそういう相談をしてくるのだ。

オレは一体あの人達の何なんだ…
最初の内は、こんなにオイシいことはないと思って嬉しかったけど、その内段々と、惨めな気分になってきて、うんざりした。
相談に来た女の子達が、結果当人達と幸せに成れたはずもなく、罪悪感さえ植え付けられた。
しかも当人達はそうは言いながらもウブというか…奥手というか…こと色事に関しては興味がないと言っていいほどで、実は経験は…ない。
土方は、ミツバをずっと思い続けている。
沖田は、きっとまだ精神的に未熟なのだろう。そしてその自覚が本人にあるのだろう。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ