メインの弐
□イミテーション
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その辺のファミレスで軽く飯を済ませる。普段はドレッシング派の俺も、今日ばかりはマヨネーズを掛けてサラダを食った。
食後の一服なんて言って普段は吸わねぇタバコも吸ってやった。
依頼を完遂してやるよ。あの男の代わりをしてやりゃいいんだろ?
「ジミー、今日は泣くなよ?本当に後悔しねぇんだな?」
「はい…」
バカヤロー、なんでだかしんねぇけど泣きてぇのはこっちだよ。
やっすいラブホに連れ込んで、シャワーも浴びないままジミーを押し倒した。
プレイの一環だとか何とか言って目隠しもしてやった。
存分に楽しめよ、偽物の多串君をよ。
せめてその嗅覚と感触だけでも、その気になれりゃいいんだろ?
背格好の似た俺に縋るしかなかったんだろ?
ジミーは俺を力一杯抱きしめ、俺の髪に鼻を擦り付け、小さな声で「ひじか…」と呟いた。
あいつの名前…ちっ、萎えるぜ、こんなもん。
最後まで言わせねぇように口を塞いだ。
マヨネーズとタバコの後味がまだ少し残ったこの口で。
俺はなんてバカなんだ。
どうしてここまでしてもコイツをモノにしたかったのか。
仕事にかこつけてコイツとやりたかっただけじゃねぇか。
それから月に1、2度のペースで、適当な飯を奢って貰うことを「依頼料」として、こんな関係が続いた。
「ジミー、おめぇさぁ、まだ俺とこんな関係続けてるって、おめぇの恋は何も発展してねぇの?あれから一年だぜ?」
業を煮やして「仕事の最中」に、ジミーの目隠しを取って口を開いた。
現実を見ろよ。お前が抱かれてんのはアイツじゃねえ。
アイツと同じ匂いを身につけたって、俺はアイツじゃねえ。
「俺だっていつまでもテメエの自慰の手伝いに付き合ってらんねぇの。こんなこといつまでもしてっからテメエの恋は実らねぇんだよ」
「オレの恋は…とっくに実ったと思ってたんですけど。ねぇ、旦那。初めてオレの目を見てくれた」
あの時のような、鋭い真っ直ぐな目
「は?ジミー…オマエ…」
「旦那はオレのこと、好きでしょ?」
ヤられたァアアアアアッ!!!