メインの壱

□三千世界の鴉を殺し主と朝寝がしてみたい
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もうこんな時間。起きなきゃ。

「ん…?お前、何やってんの?」
「おはようございます、副長。起こしちゃいました?まだ寝てても大丈夫ですよ」

布団から出ようとするオレに副長がしがみついてくる。

「どこ行く?お前も今日非番だろ?」
「そうは言っても、監察方は監察方で朝会や業務連絡はしなきゃいけないんで…」
「非 番 だ ろ ?」

副長の腕に力がこもる。

「でも…」
「でもじゃねえ。一日くらいほっとけよ」

あら珍しい。
ワーカホリックな鬼の副長殿からそんな言葉が。

すると今度は廊下から近藤局長の声。

「トシー?トーシー!?」
「んっだよっ、ぅっせぇなー!?」
「トシ、起きてる?今日の議題書どこ?ちょっと、部屋開けていい?」
「ばっ…駄目だ!っつか俺今日非番なんだから一日ほっといてくれよ!」
「トォシィー!俺じゃ議題書どこにあんのかわかんねーよぉー!ねぇ、トシー!ちょっとだけ、ねぇ」
「だぁっ!!もう、総悟に訊け総悟に!俺非番だっつってんだろ!休出手当取るぞこの野郎!」
「わっ…わかった。ごめんごめん。ゆっくり休めよ。総悟ー!そうごぉおー!!」
「ったく、うるせぇな…」

本格的に珍しい。
今のやりとりで副長は完全に目が覚めたはずなのに、オレに足を絡ませて、また目を瞑って眠ろうとしている。

ピリリリリリ
ピリリリリリ

オレの携帯が鳴る。
ディスプレイを見ると「着信 吉村折太郎」の文字。
朝会に出ろとの呼び出しだな…。

副長がオレの携帯をひったくり勝手に出る。

「おい吉村、山崎は今日は非番だ。朝会ぐれぇてめぇらでどうにかしろ。良いか、今日は二度と山崎の携帯鳴らすんじゃねえ。切腹させっぞコノヤロー」

そのまま電源を落とし、放り投げた。

「どいつもこいつも邪魔しやがって…」
「副長…いいんですか?」
「あ?休みの日くらい良いだろ。何のために非番合わせたんだよ?この日作るのに俺がどんなに苦労したか分かってんのか?」
「…じゃ、二度寝しましょうか」
「な?」

副長がにっこり笑って、布団を被りオレを抱き寄せ目を閉じた。

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