メインの壱

□理由
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「副長はどうしてマヨネーズと煙草が好きなんですか?」
「お?どうした急に?」
「いや、何でかなぁーと思って」
「まぁ、うめえからだろ」
「どう旨いんですか?」
「は?どうって…」
「だって、世の中には旨い物なんて他にも沢山有るじゃないですか。どうして煙草とマヨネーズなんですか?」
「なんだお前、面倒くせえな…。そんなこといちいち考えたことねぇよ。俺にとっちゃそれが旨いもんだっただけのことだろ。逆におめえはどうなんだよ。何でミントンとカバディにハマってんだ?」
「うーん、何でなんですかねぇ…」
「ほらやっぱ、おめえだって思いつかねぇじゃねえか」
「そうなんですよ…申し訳ないんですけど、怒らないで聞いて貰えます?」
「改まって今度は何だよ?」
「オレ、副長のことが好きな理由もどんなに考えても思いつかないんですよ。理不尽にすぐキレるし、節度のないマヨラーだし、馬鹿みたいなチェーンスモーカーだし、夜は割と変態的だし…なのに、どうしても副長のことが好きで好きでしょうが無い。でもやっぱり理由が分からないんです」
「はぁ…ツッコミたいところが山ほどあるんだが」
「それはまた後で。ねえ、副長はどうしてオレなんかを好いてくれてるんです?」
「…」
「…」
「“俺にとっちゃ”、誰より何より、お前と居ることが幸せだから。そんなもんだろ。それ以外思いつかねぇわ。それじゃ駄目か?」
「は…はは…っ、アハハハハ」
「可笑しかったか?」
「良かった!副長、オレと同じ事思っててくれて!」
「そうか。良かったな。俺も良かったわ」

好きなことに一々理由なんていらない。
理由付けする必要がない。
その理由が覆ったとき、嫌いになる理由になってしまうから。
何となくで良い。

何となく好き。

自分にとっては、それが在るから満たされてる。

理由なんてそれくらいで良い。

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