メインの壱
□許さない
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絶対に許さない。
オレをこんなに苦しめた。
同じ苦しみを味わえばいいのに。
寝ても覚めても苦しい。
胸がつかえる。
息も出来ない程に。
頭の中は同じ言葉を繰り返してばかりで、一杯一杯。
口から溢れさせてこぼしてしまえれば、何もかも軽くなるはずなのに。
それを由(よし)としない。
もう後戻りできない。
引っ込みの付かなくなったこの感情を、どうしてくれよう。
分かつことも出来ないのに。
だからオレはあんたを絶対許さない。
どんなにオレがそう思っても、どうにもなりはしないけど、
神様、もし来世があるのならば、
今度はどうか、こんな気持ちを、半分こにして、オレとあの人に、その欠片を一つづつ持たせて下さい。
そしたらオレの気は晴れる。
あんたも恋い焦がれて泣けばいい。
苦しいと言って吐き出せばいい。
そしたら、今は届かないその横顔に、オレはそっと手を伸ばすことが出来るでしょ。
その時は、あんたを許してやる。
一生許さない。
怨念のように、一生この思いを抱え続けてやる。