メインの壱

□証
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副長がそれをせっせと三脚に固定しタイマーをセットすると、急いで戻り、文卓の前で胡座をかいて座った。
副長の横に正座をし、拳を握って自分の太股の上に置き、背筋を伸ばして、シャッターが降りるのを待った。
赤色の小さなランプがチカチカと点滅し始め、もうじきにシャッターが降りることを知らせる。

「なんか、緊張しますね」

声を掛けると、副長は片腕を少し伸ばしオレの拳の上にそっと手を重ねて置いた。

「え?」
「いいから、前」
「あ、」

カメラにむき直し顔を作り直した瞬間にフラッシュが焚かれた。
そしてまた副長の顔を見ると、いたずらっ子のように歯を見せて笑っていた。

できあがった写真はまるっきり恋人同士のそれとは違う、「何となく仕事中に何となくフィルムの余ったカメラで何となくこっちを向かせて撮った同僚の写真」仕様に出来上がっていた。
胸の下の途切れた部分で手を重ね合っているなんて誰も気付かない、そんな写真。

「おう、山崎。好い写真出来たな」

副長はとても嬉しそうにしばらく眺めていた。

「山崎、一生大事にするよ」
「それ程お気に召されましたか、その写真」
「バカ、ちげえよ。お前をだよ」

!!
「返事!」
「はいよ!オレも、写真も、一生お供させて下さい!」
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