メインの壱

□執着の終着
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面倒臭いなと思った時、相手も大体そう思っている。
それは潮時の合図。
最初からそこに愛なんて無いのに、相手の躰に対する執着心をお互い、色恋と差し替えて、今日まで来たのだ。

オレ、あんたの事大嫌いです。
アンタだってオレの事好きでも何でもない癖に。

優しくしないで。下心が見え隠れしてる。
もうたくさん。何の感情もない性行為。
抱かれる度に、心の隙間が広がっていく。
アンタに触れられる度に、嫌悪感が募っていく。

オレの気持ちを知りながら、優しい振りしてオレを弄んでるアンタが
その時だけは優しい目でオレを見つめてキスをくれるアンタが

あんだけモテるのに、オレの躰を求めるアンタが


本当に、大嫌い。

面倒臭い。自分の感情が。
アンタが好きで好きで仕方なくて、大嫌い。
アンタの存在が、大嫌い。

「山崎ィ、何考えてんでさァ」
「アンタの事ですよ」
「そうかィ。お前、俺の事ホントに好きだもんなァ。可愛い野郎だねィ」

面倒臭い。もう、何もかも。

オレからアンタの手を離したら、アンタどんな顔するんだろうね。
別に何とも思わないのかな。
少しでも悲しい顔をしてくれたら、オレはこの関係も、悪くはなかったんだと自分の気持ちに決着をつけるよ。




愛なんて、最初から無い物に執着しなけりゃ良かった。

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