メインの壱
□タイトル無し
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あの時、俺が誰かを守ろうなんて、守り通そうなんて、浅はかで、烏滸がましいと思った。
結果、守り通せたのは己のちんけな自尊心だけだった。
アイツは逝っちまった。
最期、笑っていたのか泣いていたのかすら分からねえ。
俺には会わせる顔がなかった。
誰も、俺を許しゃあしねえだろうと思った。
結局俺には、人を、周りを、傷付けることしかできねえ。
何かを背負い込んだ気になって、いい気になって、俺の自尊心は満たされた。
その何かを利己的に振り落としてたのも、紛れもねぇ俺自身だ。
それでも俺の背中に必死にしがみつく莫迦が一人居る。
しがみつくと言うより、俺を乗りこなしているような、
そういう奴が、たった一人だけ居る。
俺がどんなに突っ走っても、こいつだけは絶対に振り落とされないだろうと、高を括っていた。
アイツの時もそう思っていたんだろうな。
馬鹿な俺は、繰り返そうとしている。
その重みに、堪えられなくなり、振り落とそうとする。
本当は、
ただその手をとって、
寄り添い歩きたかっただけだと
気付いたのはたった今。
もう、遅い。遅すぎる。
それでもお前が、俺を許してくれると言うなら、手を伸ばしていいだろうか。
お前は俺の手を取ってくれるだろうか。