メインの壱

□大人になったんです
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指定された場所に指定された時間に出向くと、彼は車で待っていて、乗り込むとそのままホテルへ直行した。
その頃から、彼との体の相性がそんなに良くないことにも気付き始めた。
ルームサービスで粗末な食事をとって、特に会話もなく、本来の目的を果たせば、二人別々にシャワーを浴びて、彼の「そろそろ帰るか」の言葉を待つ。
たまに時間があって彼が機嫌がいいと、彼はビールを空け、少し酔った勢いで饒舌になり、彼女とのことやプライベートのことを喋り、たまにオレに質問を振ってオレの話を聞いてくれる。
そして、「眠くなった」と言って、オレと抱き合って寝る「お泊まりコース」があった。
本当にたまにそういうことがあって、純粋なオレは、彼は本当はオレのことを好きでいてくれているんじゃないかと勘違いをしてしまった。

そうやってずるずると、何の生産性もない関係を、オレが高校を卒業する頃まで続けた。
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