メインの壱

□匂い
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オレは今日も副長のパシリ。
いつもの如く、煙草とマヨネーズを買いに行く。

いつものコンビニ。
馴染みの店員は、オレの顔を見てすぐに、いつもの煙草を用意してくれる。

「あんまり吸いすぎは良くないですよ」
「はぁ…あはは」

なんだかよくわからない愛想笑いをしてコンビニを出た。

オレは一度も煙草なんて吸ったこと無いのにな。
自分の口に入らない物を毎日毎日買いに行かされることに、なんだか腹が立ってきた。

少し道草をして、河原の土手に座り、煙草を開けてみた。
うわっ、煙草の葉っぱのにおい。あからさまに体に良くないにおい。
あの人、こんな物をよく好き好んで体に入れてるな。信じらんねーや。

一本取り出して口にくわえてみた。
何だかそれだけでも自分には似合ってないなと思えて、恥ずかしくなってきた。

カートン買いのオマケの百円ライターで火を点けてみた。
中々点かないな。

あぁ、そうか、吸いながら火を点けるんだ。

「ブホッ」

げぇー!!!なにこれ!!
ってか、あの人何でこんなマズいもんをウマいっつってんの?!

いつまで経っても咳が止まらない。口の中が苦い。頭がクラクラする!

ぎこちない手付きで、ピースサインに煙草を挟んで口から離した。
あー、指が震える。

様になんないなぁ。

後味があの人のにおい。あの人のキスの味。
…当たり前か。

なんかドキドキしてきちゃった。
何時までも副長とキスしてるみたい。

もう一度煙草を口にくわえ、吸わないままぼんやりしていた。

何やってんのかなオレ、でもちょっと幸せ感じちゃってんの。

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