捏造回顧録

□捏造回顧録6
1ページ/3ページ

オレは“バラガキ”の噂の真意を確かめるべく、まずは原田に話を訊いてみた。

「噂は聞いたことあるな。その辺の道場に片っ端から喧嘩ふっかけて荒らしてるって奴だろ?」
「お父上が言ってたけど、原田、前にその人ノしたことがあるって」
「畑の、か?あー、そいつどんな奴だっけ?」
「長い髪を後ろで結ってる目つきの鋭い人」
「あ、あいつか。あいつは強いな」
「え?でも、原田、そいつノしたんでしょ?」
「まぁ…でも、俺がそこに出向いた時は、あいつはもう碌に動ける様な状態でもなかったしな。他の奴らは何人か逃げたし、残った奴も大したことなかったけど、あいつだけ最後まで立ち向かってきて、めんどくせー奴だったよ。最後はもう、体格差を利用して力尽く」

だとしたら、いや…俄には信じ難いけど…
お父上は本当に徒者じゃないって事?

「お母上、お父上のことでお話が…」
「やだ、何?またあの人何かした?」
「いえ、俄には信じ難いのですが、お父上は徒者ではないとお聞きしまして」
「そうなの?今はどっからどう見ても徒者じゃないの」
「ですよね…」
「今は、ね。ま、本人に訊いてみなさいよ」

本人に訊いたところで話をはぐらかされそうだからお母上にお尋ねしたのに。
もう、お父上が何者だろうがどうでも良くなってきた。
オレは正直言って、お父上のことは苦手だ。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ