捏造回顧録

□捏造回顧録4
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「ねえ、原田。原田はさ、あの道場に居て、将来はやっぱりお侍さんになりたいの?」
「うーん…侍になりたいかどうかは分かんねえが、俺は近藤さんについて行きたいと思ってる」
「近藤さんってどんな人なの?」
「ゴリラ」
「は?」
「いや、冗談だよ。あながち嘘でもねぇけど…ま、アレだ。あの人のことは聞くより実際会った方が分かり易いな。俺なんかが言葉に著せない様な魅力を持った男だよ。ところでお前はあんな忍者ごっこに精を出してゆくゆくは忍者になりたいとでも思ってるのか?」
「いや、まさか」
「だよな…あんななんの役にも立たないことさっさと辞めてお前も道場来いよ」

その頃になると、オレは既に道場に行きたいという想いが薄れてしまっていた。
そう、なんの思想も持ち合わせていないのだから。
道場に通って、もし、強くなれたとして、オレは侍になりたいなんて思いはしないだろう。

剣を奮って人を斬り、明日への道も切り開かれるとは、
到底思えなかった。
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