捏造回顧録
□捏造回顧録20
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そこに大きな荷物が届いた。送り主は松平のとっつぁんだった。
「食料か!?」
皆喜び勇んで荷物に集り、早く開けろと近藤に詰め寄った。
「ん?」
箱の中身は、黒々とした洋服が詰め込まれていた。
「何だ、服かよ…」
「制服か?」
箱から洋服を取り出すと、底の方には白い布に包まれた棒状の物が並べられていた。
近藤がそれを一本手に取ると
かちゃり
微かに乾いた金属音がした。
近藤はそれが刀だとすぐに気付き、慌てて手を離し後退りをした。
「あわわわわわわわ…」
「近藤さん!?」
その様子を見ていた土方が近藤に駆け寄り声を掛ける。
近藤は腰を抜かし、箱を指さしたまま戦慄いているばかりで、声も出せなくなっている。
土方は木刀を構え、ゆっくり箱に近付き、中を覗く。
「?」
白い布に包まれた棒状の物。一本は先ほど近藤が手に取り驚いた拍子に手を離した所為で布が解けて姿を現していた。
「刀じゃねえか…!」
土方はさらに瞳孔を開かせ目を輝かせた。
「本物ですかぃ?」
物怖じしない沖田が寄って来て、布の解けた一本を手に取り、早速抜こうとした。
「ばっ、止めろ!危ねぇだろ!!」
「ちょうど良い所に試し斬りの標的が」
「ダァアアアアッ!マジ止めろ、抜くな!」
「冗談です」
沖田は刀をそっと置いた。
「この刀が一番最初に吸う血があんたのコレステロールまみれの血なんて、あんまりでぃ」
そうこうしている内にドカドカと足音が聞こえた。
「よう、おめえら」
その声と同時に
パァーン!パァーン!
室内に銃声が響いた。皆が驚いて一斉に音の方を振り返る。