捏造回顧録
□捏造回顧録19
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「あれ、どこのモブキャラかと思えば山崎じゃねえですかぃ。密偵かぃ?」
「あ、沖田隊長。そうです、密偵ですので…気安く声掛けないで貰えません?」
「何でぃ、いいじゃねえかよ。どうせ大したもんじゃねえんだろ?ちょいと付き合えよ」
沖田は半ば無理矢理に山崎の腕を引っ張った。
「あれ、沖田さん、その花は…」
沖田の手には花束と激辛煎餅があった。
「姉上の誕生日なんだ。退も一緒に祝ってやってくんねえか」
沖田は、あの頃のように無邪気な少年の面影で笑う。
「総くん…」
沖田の後を付いて行く。周りを見渡せば青々とした三つ葉が白く小さな花をぽつぽつと咲かせ始めていた。
(五月の風のようにさわやかで、清々しくて、とても美しい人だったな…)
穏やかな春の終わり。
もうすぐ初夏が訪れる。
「誰でぃ、姉上の墓の前にたばこの灰落としてった奴ぁ!!」