刹那の一時

□注目カード
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ついにこの日が来た。

去年のWC、俺は先輩たちを日本一にできなかった。
しかも、それだけじゃなくて膝の怪我のせいで今年のIHも俺は出場できなかった。
でも、今回は、膝の痛みもない。
先輩たちも応援にきている。
だから、今日、俺は……

「海常を日本一にする。」

++++++

桐皇選手控室にて、桐皇学園バスケ部マネージャーの桃井さつきの落ち着いた声が呼びかける。

「大ちゃん……時間だよ?」

「…………。」

返事はない。だが、その瞳はこれから始まる試合に対しての闘争心がくすぶっている。
もしかすると、先日の洛山戦より……

「大ちゃん」

「さつき、今年のIH、優勝したのは洛山だったな。」

「え?あ、うん。」

「そして、俺たちは海常に負けた。」

「うん、そうだね……。」

目を瞑っていると思い出す。
今年の夏の準決勝の残り3秒の出来事。
黄瀬がいないのに、よく勝ち上がってきたものだと思った。
だが、それは当然の結果だったのかもしれない。

「きーちゃんの相棒は海常というチームだったから。」

黄瀬の完全無欠の模倣……その技を止める術はそうそうない。
しかもこのWCでわかったことが、制限時間が5分から大幅に伸びていることだ。
だが、それは黄瀬だけの技<だった>

「びっくりだよね。怪我しているときずっと体力作りと指導を行ってるなんて……しかも、それを本番で実践するから、私の情報にもなかったもんね。」

「緑間の3Pにテツのパス、紫原のDF、俺のスタイル、そして赤司の天帝の眼」

黄瀬はそれを一人でやってのける。
でも、それは去年の話だ。

海常のSGは緑間ばりのシュート力でハーフコート全部で3Pを撃つ。
PGは突飛なパスを平然とやってのける度胸を持っている。
Cは持ち前のジャンプ力でシュートをどんどん叩き落とす。

全て、黄瀬が教えたものだった。

「最高のチームだと思うよ。」

「だからこそ勝ちてぇんだろ?」

にやりと笑った<挑戦者>はその控室を後にした。

++++++

「負けねーっスよ、青峰っち。」

「おいおい、そりゃあこっちの台詞だ。」

誠凛、洛山を破って来た桐皇、
陽泉、秀徳を破って来た海常、

桐皇対海常……このカードは初めて当たったIH以来の注目カードとして名を馳せた。

さて、今回どちらに勝利の女神はほほ笑むのでしょうか?



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