恋桜

□神名Side 《初日》
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「神名!起きなさい。 学校に行く時間!」

仕方なく起き上がり、カーテンを開ける。雲一つない青空、太陽がまぶしくてまともに目を開けられない。
顔をさっぱり洗ってきたい気分。
「清々しいとは、こういう事を言うのかな?」
少し伸びをした後、すぐに学校に行く支度した。
シワ1つないワイシャツに腕を通す。新しい制服を着る。仕上げにリボンを結ぶ。
ふぅっと深呼吸をする。実感が湧く。
〈あぁ、今日から高校生活が始まるんだ。〉
私は今日から高校生になる。
少し不安もある。
知らない人たくさんいるし、仲良くなれるかな?そう思いながら部屋を出た。
ー姫雅咲 神名ー
私の名前。
「早く朝ご飯食べなさい!遅刻したらどうするの!?」
この朝からうるさい…元気モリモリなのが私のお母さん。怒ったら怖いけど、優しい時だってもちろんある。
お父さんは朝はやくに仕事に行ったらしい。朝はあんまり会うことがない。お父さんはちょっとお茶目。
それから中学2年生の妹。可愛いげは壊滅的。私を無意味に蹴飛ばしたり、私のものを勝手に使ったり、横取りされたり。世話の焼ける妹だ。
私の家はこの四人家族。
朝はテンションが低い妹が喋らないから、声の大きいお母さんの声だけが響く。

朝ご飯を食べ終え、玄関で靴を履いてると、ニコニコしたお母さんが来た。
「どうしたの?見送り?」
「気合いを注入するわよ♪」
なぜかノリ気のお母さん。
その笑顔が、逆に怖さを大きくする。
〔あぁいつもこうだ。この時のお母さんはなぜかイキイキしてる様に見える。〕
そして私の予想通りに

思いっ切り背中をはたかれた。
学校までは歩いて30分ぐらいでつく。
〔少し背中がヒリヒリする…お母さん強く叩きすぎだよ…〕
背中をさすりながら歩いてると
「神名おはよぉー♪」
後ろから抱き着かれた。
「ぬわっ!?」
不意に抱き着かれたからかなり驚いた。
「はよー。ぬわって何だよ!」
後からもう1人ケラケラ笑いながら来た。この2人は私の大事な友達だ。
抱き着いてきて、今も私を離さないのが美月(みづき)。瑠華は髪をまいていて、目がパッチリ二重。女の子そのものが桃菜と言っても過言ではない。
もう1人は雅(みやび)。サバサバしてる性格で、下手したらそこら辺の男より、性格はイケメン。顔自体はかなり整っている。運動神経抜群でショートカットがよく似合う。
この2人とはいつも一緒にいる。
「急にビックリしたぁ!おはよ♪美月は相変わらず朝から元気だねぇ。」
「神名はおばちゃんかよ!」
「よっツッコミの達人!!」
未来のツッコミで三人は笑う。不安も何もなくなった。

校長先生の長い話を聞き、ようやく入学式が終わった。あの2人とはクラスが一緒だったので、一緒に向かう。たわいもない話で盛り上がる。桃菜はカッコイイ人探しに夢中だけど…

教室に着いた。にぎやかな教室だった。席はなぜか自由で私達は近くに座った。間もなくして担任と思われる先生が入ってきた。
〔何だか熱血そうな担任だなぁ…それに……〕
第一印象+ニックネームが決まった。2人が私の方に体を向ける。見つめ合って、声を揃えて言った。

『焼きナス先生♪』

声があった事もすごく楽しいが、何より皆同じ事を考えていた事が面白い。先生はナスの様な顔で熱血そうだったから、焼いちゃえみたいな。こんな誰も思わない事を私達3人は思ったんだ。
〔これから楽しみだな♪〕

空は相変わらず澄んだ青色だ。
 

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