☆Text-空白の石版-

□第十四章 籠絡
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【SIDE:大蛇】


「月が綺麗だね、美咲―――」

俺はガラス越しの景色を見て呟いた。
それから美咲の方を振り返ると、にこりと笑ってみせる。

その瞬間、美咲に酷く睨まれた。
美咲の鋭い眼差しに貫かれて、俺の胸はとくんと高鳴る。

(月よりも、美咲の方がずっと綺麗だけどね....)

俺は心中で呟くと、美咲の傍まで歩を進めた。

美咲は綺麗だ。
汚したくなる位。

俺は天蓋付きのベットに拘束された美咲を見下ろして微笑んだ。

美咲は強い眼差しで俺を睨むと、ふいと顔を背ける。
俺はそんな些細な動作にさえ愛しさを覚えて、口元を緩ませた。

美咲が少し身を捩ると、彼の脚を天蓋の柱に繋げる鎖が小さく音を立てる。

俺はそっと美咲の傍らに跪くと、美咲の脚をそっと手に取った。

「私、死んでもいいわ....って、言ってくれないの?」

その脚を優しく愛撫しながら尋ねる。
美咲は俺の方へ向き直ると、眉根を寄せて一瞬目を瞬かせた。

「んだよそれ....訳わかんねぇ」

美咲がふてくされた様に呟くと、俺は目を細める。
そっと美咲の脚に口付けると、俺は美咲を見上げて微笑んだ。

「愛してるって言ったんだよ」

言いながら美咲の脚を再びベットに下ろしてやると、俺は美咲の身体に静かに覆い被さる。
一瞬、美咲の身体がビクリと怯えた。

「....っ何しやが....」
「美咲は睨んでても可愛いな」

言いながら、俺はそっと美咲のズボンに手を掛ける。
途端、美咲は顔を真っ赤に染めた。

「止めろ!!」

美咲は咄嗟に叫んで俺を押しのけようとする。
美咲の何処か怯えた様な瞳が、俺を見つめた。

...いくら美咲でも、今から自分が何をされるのか位は予想が付くんだな。

(でも、美咲は俺に逆らえない)

俺は心中で呟くと、口端を歪めた。

美咲は俺に逆らえない。
抵抗できない。

仲間の為に、美咲は俺に従属する―――

「はは、美咲、約束したよね....お前は俺のものだって」
「っ!!」

俺は美咲の耳元で囁いた。
その瞬間、美咲の表情が凍り付く。

「所有者に逆らうなんてダメだよ、美咲」
「なっ....」

美咲は瞳に怒りを宿して俺を睨め付けた。
俺は優しく彼に微笑む。

(あー....綺麗だ)

美咲は目を見開いて俺を見つめた。
それから悔しそうに唇を震わせる。

「....っ!!」

美咲は息を飲んだ。
声に出来ない怒りに、美咲の細い身体が震える。

俺はそんな美咲のズボンをそっと下ろすと、下着に手を掛けながら囁いた。

「今からさ、俺....美咲に大事なもの捧げるよ」
「....っんだよ!?」

「どーてー」

言うと、俺は美咲の額にちゅうとキスする。
刹那美咲は呆気にとられたのかポカンとして俺を見つめた。

さっきまでの怒った顔はどうしたの、美咲。

「は、童貞?お前が?」
「そうだよ、勝手に上に乗ってくる女は結構いたけど....相手に勃った事無くて」

俺があっさり応えると、美咲は口をパクパクさせる。
その仕草が可愛くて、俺はついクスリと笑ってしまった。

「まぁ女の子と手も繋げない純情美咲とは違って....ちゃんと相手はいたんだけど....」
「な、うるせぇな!!何でお前が俺の事まで知ってんだよ!!////」

美咲は瞬間怒鳴ると、俺を睨め付ける。
瞬間ゾクリと、背骨に興奮が駆け上った。

....止めろよ美咲。
そんなに可愛い顔で睨み付けられたら、俺なんか変な性癖に目覚めちゃいそうだ。

「まぁそういう訳で、今から美咲に俺のハジメテをやるよ」
「ざけんな!!いらねーよ!!////」

「あー、コレで魔法使いになる道は断たれた。ホグ●ーツにも入れない....」
「何の話だよ!!////」

俺はそんな軽口を叩きながら美咲の下着を下ろす。

覗いた美咲の柔肌にゆるりと手を滑らせると、美咲の身体がぴくりと跳ねた。

「ゃうっ....!////」
「は....流石美咲、感度良いんだな」

俺の手に美咲が感じている事が妙に嬉しくて、俺は美咲の下半身を再び愛撫する。

「んっ大蛇....やめ////」

その度美咲は可愛い声を上げてよがった。
....コレは勃たない訳がねぇよな。

ゴクリと生唾を嚥下すると、俺は美咲の両足を高く持ち上げた。
美咲の脚に付けられた鎖がじゃらりと音を立てる。

そして美咲の密壺に目線をやると、俺は固まった。

「....何だよ、コレ」
「は....なん....?////」

美咲に脚を開かせて目に入ったのは、"伏見猿比古"という文字。

「なんじゃねーよ....何だこの伏見猿比古っての」
「あっ....それはクソ猿の野郎が....!!////」

俺が指摘すると、美咲は途端に可哀想な位真っ赤になって狼狽する。

「....」

伏見猿比古....やっぱ始末すれば良かった。

信じられねぇ、俺の美咲にこんなもの書きやがって....。
しかも場所が場所だからに絶対セックスもしてるよな....。

「あー、クソ....出鼻挫かれた....」

俺は小さくぼやいて美咲の脚を再びベットに下ろす。

美咲と伏見猿比古が保健室で二人切りだったと聞いて、嫌な予感はしていた。
けどまさかこんなものを残されている何て....

(....)

まさかこのまま犯れる訳がない。
幾ら俺でもそこまでメンタル強くない。

仕方ない、まずはこれを何とかするか。

「チッ、ちょっといい子に待ってろ美咲」
「へ、あ....大蛇」

俺は舌打つと、美咲をそのままに立ち上がった。
美咲は瞬間真っ赤な顔で俺に手を伸ばす。

それからはっと気が付いたように、美咲はその手を引っ込めた。
躊躇いがちにその手に目をやると、ちらりと俺を上目遣いに見上げる。

....上目遣いに。

(....本当、美咲って////)

無自覚で恐ろしい奴だ。
俺はその仕草に小さく溜息を吐いた。

美咲の縋る様な視線に、心臓がきゅんと締め付けられる。
他人に身体を許した彼が憎らしいながらも、そんな彼でも可愛いと感じてしまう。

まさに憎さ余って可愛さマジLOVE1000%倍....

俺は目を細めて美咲を見つめると、再び溜息を吐いた。

(惚れた方の負けって言うけどよ....)

やっぱコレはちょっと悔しいわ。

「美咲」
「....ん」

俺は小さく美咲の名を呼ぶ。
美咲も小さくそれに応えた。

それすらも可愛いと感じる俺はもう完全に末期だ。

(いや、でもな、お仕置き位しねーとな)

俺以外の奴に、その可愛いケツ好きにさせたお仕置き。

....まぁ本当は、美咲にドキドキしすぎてあまりに何も考えられない自分が悔しいだけなんだけど。

俺はやっと心を決めて膝を折ると、ベットの下に手を伸ばした。
そっと指先で暗闇を掻き、ベットの下にしまっておいた箱を取り出す。

そして俺は無言の内に、そこから有名な玩具を取り出した。

「....ッ!?////」

眺めていた美咲がビクリと後ずさる。

本当は、これは普通のセックスがマンネリ化してきてから使うつもりだったけど....
まぁ良い機会だ。

挿入れてみよう―――

「み、大蛇....それっ////」
「美咲、そんな顔すんなよ」

ただのバイブだろ。

そう言って俺は微笑んだ。
瞬間、美咲はヒクと息を飲む。

俺はそんな美咲を余所に、くいと美咲の脚を持ち上げた。
再び目に入る、宿敵とも言える男の名前。

「....」

俺は美咲の密壺にバイブを宛がった。

男性器によく似た、ピンク色のバイブ。
イボの付いた極太の奴。

(入るかな)

バイブの質量と美咲の身体を眺めて、瞬間素直に疑問に思う。
流石にそのままは可哀想か。

(幾らお仕置きとはいえ....ローション位は使ってやってもいいよな)

俺は美咲を壊したい訳じゃないんだから。

俺はそう思案すると、俺はそっと先程の箱からローションを取り出した。

きゅぽとキャップを捻り、中の液体を美咲の密壺に垂らしてやる。

「ひっ、んだコレ....冷っ...」
「これ無いと痛いのは美咲なんだよ、我慢しろ」

美咲は驚いたのかきゅっと目を瞑った。
....キスしてやろうか。
じゃなくて、本当、美咲っていい反応しやがる。

「これ媚薬効果もあるローションだから、じきに凄ぇ気持ちよくなるよ」
「!?び、びやく....?////」

俺がそう言うと、美咲は目を白黒させた。

....流石に保健室に媚薬なんて無かっただろう。
つまり美咲の初媚薬セックスの相手は俺って事だ。

(....まぁ何となくうちの学園の保険医の男は、保健室に媚薬とかもおいてそうな雰囲気ではあるが)

俺は心の中で呟くと美咲の密壺にバイブを再び宛う。
バイブの先端が美咲の密壺を擽った。

「っ....んッ////」

その瞬間、ローションの水音と共に美咲から甘い声が漏れる。

ふと美咲の顔を伺うと、ピンクの頬をした美咲が、耐えるように目を細めていた。
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