☆Text-空白の石版-

□第七章 嘘
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【SIDE:猿比古】


美咲。
ねぇ美咲、愛してる。

(あーあ、真っ赤....)

苦しそう。

「美咲....」

俺が名前を呼ぶと、美咲は益々真っ赤になって俺を見上げる。

俺は小さく笑った。

「はは、美咲ぃ....」

瞬間、ずきりと胸が痛む。

(....痛い)

笑わないと、壊れそう。
やってしまった。

「はは....キス、しちゃったな」

俺の言葉に、美咲はビクリと震える。

ああ、美咲....何か言えよ。
何にも言ってくれないなんて、酷いじゃねぇか。

いつもみたいに怒って怒鳴り散らせよ。
何すんだこのクソ猿って。

「....なん、で....?」

不意に、美咲のか細い声が耳に届く。

違う。
こんな声が聞きたい訳じゃない。

「....何で、キスなんか」
「....」

解んねぇの?
嘘だろ?

そんなの、一つしかないじゃん。

ああでも、解んないか。
美咲だもんな。

美咲馬鹿だもん。
それとも、美咲にとって俺が"友達"だから、解んないのかな。

友達だからかぁ。
お前にとって、俺は....ずっと、ずっと。

「....友達が、ちゅーしちゃいけねーのかよ」

俺は小さく笑いながら呟いた。
美咲は表情を堅くして俺を見る。

美咲の少し潤んだ瞳が俺を映した。

ああ、ダメだ。
とまんねぇ。

「....俺が、美咲に、キスしちゃいけねーのかよ」

美咲の瞳の中で、小さく項垂れた俺の姿が揺ぐ。

(痛い)

胸が痛い―――
美咲、美咲、気付いて。

俺を見て。

心の中の想いが、熱く熱を持って融け出す。
自然と唇から言葉がこぼれ落ちる。

「友達が、お前を....美咲の事を、好きだったらいけねーのかよ」

あぁ、やべぇ、目頭熱い。

美咲、目デカい。
超見開いてる、可愛い。

いや、そうじゃないだろ俺。

「猿....比古」

美咲は淡く唇を震わせて、俺の名前を呟いた。

「ん、なに....?」
「....」

俺は優しく聞くと、目を伏せる。
美咲の小さな身体が視界を埋めた。

震えてる。

「....好き、って....俺を?」

美咲が震える声で聞いた。

うん。
そうだよ、美咲。

好き。
愛してる。

「....猿比古」

俺は、怖くて顔を上げられなかった。

美咲今、訳解んないって顔してる?
気持ち悪いって思ってる?
俺の事、嫌いになった....?

「....美咲」

呟くと、瞳に熱いものが込み上げる。

ああ、俺言っちゃったんだ。
大事に大事にとっといた言葉なのに。

「....猿比古」

美咲は震えてた。
それから、困ってた。

何て俺に言葉を返そうか、迷ってる。

俺を、傷付けない為に?

相変わらず、美咲は優しいなぁ。
でも、壊れ物を扱うような同情なんか、いらねぇんだよ。

俺は、俺が欲しいのは....

「猿比古、俺....お前の事」

美咲の声が、俺の心臓を掴んだ。

(潰される)

瞬間、きゅっと心臓が痛くなる。。
胸の中で、冷たい感情が沸き上がった。

ドクンと心臓が痛いくらいに脈打つ。

(俺の、真ん中に....穴が空く)

美咲を失ったら、俺、死んじゃうよ。

「猿比古....俺っ....んぐっ!?」
「....っ」

気付けば、俺は美咲の唇に強く掌を当ててた。

(―――言わないで)

呼吸すら奪う勢いで、美咲の口を塞いだ。

「は、みさきぃ....」
「....!?」

そっと小さく、美咲の名前を呼ぶと、俺は美咲を押し倒す。
美咲は硬直した。

俺は混乱しきった美咲を静かに見下ろして、微笑む。
唇を塞いでいた手をそっと離した。

「ぁ、猿....?」

美咲は怯えを含んだ瞳で俺を見つめる。
俺は必死に笑顔を作って、優しく聞いた。

「....それ、何?」
「え....?」

俺の視線の先には、美咲の握っているマジックペン。
美咲は俺の視線を辿った後に、一瞬目を見開いた。

「あ、これは....お前が寝てる間にデコに落書きしてやろうかと....」
「はぁ?」
「いや、多々良先生が渡してくれて....って、そうじゃねぇだろ!」

美咲はそこまで言うと声を張り上げる。

うん、いくら美咲でも話題を逸らしたの気付いたよな。
でも、ごめんな。

美咲から、あの言葉の先だけは聞けない。
俺、本当に壊れちゃうから。

「んん?どぉしたんだよ童貞丸出しの美咲ぃ?」
「ちょ、その巫山戯た喋り方止めろ!!」

お前にただ嫌いって言われるのは、いいんだよ。

いや、よくねぇけど。
本当は猿大好き抱いてって言われてぇけど。

でも、仕方ねぇよ。
慣れてるしな。

お前に嫌われたって、俺は生きていける。
お前が俺を嫌いでも、俺はお前を愛してるから。

それなら、俺は生きていける。

どんなに離れても、どんなに逃げられても、お前の世界に居続けるから。
お前の心を、求め続けるから。

外側から、俺の心を幾ら刺しても、俺は耐えられるよ。

でも―――

「はぁ?美咲ぃ、ところでこのペンでどんな悪戯しようとしたんだよ?」
「あ?だから、テメェの額に"八田さん最高です"って落書きを....」
「ふーん、じゃ....悪戯っ子の美咲にはお仕置きしねーとな」

「へ?」

でも、あの言葉の先は、違う。

お前に、俺の気持ちを知った上で、それを拒絶されるのは。
それは、ただ嫌いと言われるのとは違う。

俺の心の一番深くを、失ってしまう。

お前を愛すること自体を、否定されたら。
俺がお前を愛すること、そのものを許されなかったら。

....内側から刺されたら、俺の心はきっと張り裂けて壊れてしまう。

だから、ごめんな―――美咲。

俺は、酷い"友達"だよな。

「はい、ご開帳」
「っは....!?」

俺は戯けた声で言ってみせると、美咲の両足を持ち上げて大きく開いた。
それから、美咲に抵抗されるよりも早く美咲のズボンのチャックを降ろす。

「ってめぇ、何しやがっ....」
「何って....お仕置きだけど?」

お前に否定されるくらいなら、俺は自分でこの感情を否定する。

「はは、美咲ぃ、もしかして"好き"って....そーゆー意味だと思った?」

俺は囁くと、目を細めて美咲の顔を舐める様に見た。
美咲は驚嘆に目を見開く。

「は....?」
「もしかして期待しちゃった?馬鹿じゃねぇの男同士で....流石は童貞」
「....」

俺は美咲の下着を降ろしながらそう囁いた。

次の瞬間見ると、美咲の瞳には大粒の涙。
美咲の涙に、きゅっと心が痛む。

(美咲....)

どうして、そんな風に泣いてるんだよ。
騙されて悔しいから?

それとも俺がお前の事そういう目で見てたってのが....そんなに嫌だった?

「っ...死ね」
「へーえ....可愛い美咲ちゃんは好きって言われて期待しちゃったんだぁ....それなら」

俺は言うと、美咲の露わになった下半身に手を這わせる。

「お望み通り、俺のものにしてやるよ」
「っは....!?」

俺は美咲の密壺に指を差し入れた。
ぐちゅりと掻き回してやれば、美咲は大きく身体を跳ねさせる。

「っあ!?テメェ何して!!?」
「何って、前戯....これねーとお前が痛ぇ思いすんだよ」
「はぁ!?訳解んね、っぁあ!!////」

美咲から甘い声が漏れる。
俺は密壺だけではなく、美咲の性器にもゆっくりと手を這わせた。

「っ、テメッ、いい加減に....っぐ...////」
「は、美咲....気持ちいいか?」

俺は吠えようとする美咲の言葉を遮って美咲に快感を与える。
美咲は屈辱からか赤くなった。

悔しそうに、俺を睨み付けながらも、何処か快感にとろけてるって表情。

そんなにはしたない表情しちゃって....美咲、本当に初めてだよな?

もしかして素質あったのか此奴。

「っあ、あ、猿比古っダメっ....!!////」
「....は、美咲....かわいー...」
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