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□さぁ、啼きなさい2
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「―――んっ」
目頭が熱い。
頬に涙が伝う。
俺は静かに床に舌を這わせた。
その様子を、宗像は淡く微笑みながら見据える。
「そうです、お利口さんですね」
優しい声で言うと、宗像は俺の唇にそっと触れた。
指で俺の柔らかい唇をなぞる。
「この可愛らしい唇で、犬のように私の性器を銜えていたのですね」
宗像はそう言うと、にこりと笑って椅子から立ち上がった。
それから静かに言い放つ。
「さぁ、頑張って床を綺麗にして下さい....ちゃんと出来たらご褒美を差し上げますよ」
宗像の言葉に俺は一瞬彼を見据えた。
俺と目を合わせると、にこりと再び微笑む宗像。
....ご褒美だって?
(嘘、吐きやがれ.....)
俺は静かに床に目線を落とす。
ぽたりとその床に自身の涙がこぼれ落ちた。
(ご褒美くれるような優しい人間が....こんな事させるかよ)
俺は小さく自嘲する。
そしから、目を瞬いて、嗚咽を噛み殺した。
(....俺の、こんな姿を見たら....)
猿比古はどう思うんだろう―――?
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十数分後。
「有りましたよ美咲君」
宗像は相変わらずの笑みを顔に貼り付けて、席に戻る。
手には何やら化粧品の様な瓶を持っていた。
「.....んだよ、ソレ」
俺はゆらりと顔を上げた。
宗像と視線を交わらせると、静かに俺は俯く。
どうせ何であっても、自分に逆らう権利が無いのは解っていた。
「ちゃんと床を綺麗に出来た美咲君にご褒美ですよ」
宗像は俯く俺に、言いながらその瓶を差し出す。
訝しげに目を細めながらも、俺は静かにその瓶を受け取った。
瓶の表面には"ラブポーション"と装飾された文字でプリントされている。
「....ラブ、ぽーしょん?」
「ええ、美咲君は使うのは初めてですよね」
「....何だよ、これ」
俺は改めてまじまじとその瓶を見つめた。
少しだけ振ってみると中の液体がチャプリと音を立てる。
「恋の媚薬という意味です」
「恋の美薬?」
俺は宗像の言葉を復唱した。
俺が復唱すると、宗像が優しく頷く。
それからそっと瓶の蓋に手を掛けた。
キュッと宗像が蓋を捻ると、比較的素直に蓋が開く。
「それでは美咲君、まずは服を脱いで下さい」
「あぁ!?服!?」
俺は宗像の言葉に驚いて叫んだ。
クソ、この眼鏡何言ってやがる....。
「自分で脱げないのならば私が脱がせて差し上げましょうか?」
「っ、わーったよ!!脱げばいいんだろ!!」
宗像が静かに俺を威圧し、俺は再び自身の立場を再確認した。
俺は、宗像に逆らえない....
(クソ、俺脱がしてどうしようっつーんだよ)
女でもないのに。
男脱がしてどうするつもりなんだ....
俺は渋々ながらも静かに衣服を脱いでいく。
上着を脱ぎ、腰に巻き付けている赤い服を床に落とすと、上半身が露わになる。
「....宗像」
「礼司と呼びなさい、それで、何です?」
俺はズボンに手を掛けながら静かに宗像に尋ねた。
「その、下も脱ぐのか....?」
「当たり前です、下着も合わせて全て脱いで下さい」
宗像は淡々と言うと、静かに俺を見据える。
絡みつくような視線で俺を眺めると、瞬間口元を歪ませた。
俺はそんな宗像に監視されながら、ズボンを静かに下ろす。
本来ならば男の前で服を脱ぐこと自体には別に抵抗はない。
男同士で気にすることも無いはずだ。
しかし、こうも熱い視線を向けられると、何処か脱ぎ辛かった。
(....見んなこの陰険眼鏡....ッ)
下着をぱさりと下に落とすと、裸の身体が宗像の視線の元に晒される。
「....っ」
「宜しい。それでは美咲君、顔を上げて胸を張って下さい」
宗像は俺の脱ぎ捨てた衣服を机の下に押し込めると、そっと俺に命令した。
俺は意図は分からなかったものの、静かに従う。
「成る程、ピンクですか」
「?何言ってんだ?」
宗像は俺の乳首をちらりと一瞥するとそう呟いた。
それから、さっき蓋を捻った瓶の口を、俺の胸元に翳す。
「....?」
見ると、瓶の口の部分は綿の様なものが敷き詰められていた。
そこから、たらりと蜂蜜色の液体が垂れてくる。
「っん」
ぽたりと俺の胸の上に液体が落ちた。
宗像はその液体を瓶口を使って俺の胸全体へと広げる。
「宗像....んっ」
「礼司と呼びなさい」
液体は妙に冷たくて、触れられた所が少しだけヒリヒリした。
暫く宗像は俺の胸にその液体を擦り付けると、今度は俺の尻に手を伸ばす。
俺はビクリとして身体を竦めた。
「美咲君、塗り辛いので体勢を変えましょう」
宗像はそう言って俺を四つん這いの格好にさせる。
「っテメ、なにすっ!!////」
「あ、もう少しお尻を高く上げて下さい」
俺は声を上げるも、宗像は何処吹く風と言った様子で俺の尻に手を添える。
愛おしむように尻を撫でる手が気持ち悪い―――
「っきゃああ!?////」
「おや、可愛い声で啼きますね」
突然液体が密壺に垂れてくる。
俺は驚いて悲鳴を上げた。
「っ、や、止めろ!!そこは....っ」
「止めません」
ゴシゴシと液体を俺の密壺に塗り込む宗像。
一体、何をしているんだ?
俺は羞恥から再び涙目になった。
液体を塗りつけられた密壺がヒリヒリする。
そして、心なしかさっき液体を塗られた胸も変な感じで....
「はい、出来ましたよ」
「!」
宗像はそう言うと優しく俺に笑い掛けた。
ことりと瓶を床に置くと、再び俺の尻を撫でる。
「それでは、ご褒美を上げましょう」
「え....?」
宗像の声が、静かに部屋に響いた。
俺は四つん這いの格好のまま、はしたなく尻だけを持ち上げた姿でそっと宗像を振り返る。
宗像はそんな俺に微笑むと、カチャリと自身のベルトを再び外した。
そこで漸く、鈍い俺にもこれから何をされるのか察しが付く。
(あ、俺....)
こいつに犯されるんだ。
宗像の性器が再び俺の視界に現れる。
宗像は静かに俺の密壺に性器を宛がった。
血の気が引く思いがする。
(猿比古....)
俺は心中で小さく呟いた。
こんな局面で、どうして猿比古の名前が出たのかは....俺にもよく分からない。
俺は心中で切なく呟くと、きゅっと目を瞑る。
(猿比古....何処....?)