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□王の孤独
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※八田視点
※尊(→)←美位です


誰かが言っていた。

王は孤独だ、と。
絶対的な力を持つが故に孤独だと―――

けれど俺は、今それに異を唱えたい....

「尊さん、尊さんには俺がいますからね!!」
「あ?」

俺はバーのソファに気怠げに腰掛ける尊さんに声を掛けた。
尊さんは俺の言葉に少しだけ顔を上げる。

尊さんの琥珀の瞳が、俺を捉えた。

(っ....尊さん....)

尊さんの瞳に射抜かれて、心臓が煩く騒ぎ出す。

ああ、やっぱり俺、尊さんの前だとダメだ....。
こう、ふにゃふにゃに融かされるような感じで....////

「み、尊さんは、強くて....格好良くて、俺の憧れで....俺、尊さんみたいになりたいんですっ」
「....フン」

俺がしどろもどろになりながら言うと、瞬間尊さんの口元が緩んだ。
それから大きな手で俺の頭をポンと撫でる。

「目指すもんじゃねぇよ、王なんか」
「尊さん....」

瞬間、きゅんと心臓が痛くなる。

好きだ。
俺、尊さんが本当に好きなんだ。

(尊さんの為なら....俺は)

何でも、する。

「王なんて、俺は目指してない....です」
「....ん」

俺はゆっくりと言葉を吐きだした。
目を細めながらも、精一杯目の前の眩しい人を見つめる。

王を目指すなんてとんでもないんです、尊さん。
だって、俺は。

(尊さんという王の元に、いたい....)

「俺は、ずっと尊さんの....お側に....いてぇ」
「八田」
「尊さんの片腕に、いつかなりたいんです....」

そう言った俺の顔は真っ赤だっただろう。

知らなかった。
大切な気持ちを伝えるのが、こんなに勇気がいる事だったなんて―――

「....八田」
「っ....スミマセッ....俺、調子乗って....!!」

不意に、尊さんの腕が俺に向けて延ばされる。
俺は反射的に目を瞑った。

瞬間小さな恐怖が背中を駆け抜ける。

....何を、するつもりなんだろう。

(けど....尊さんっ....貴方になら)

尊さんがくれるものなら、痛みも喜びも、全て受け止めたいから。
尊さんになら.....何をされても―――!!

「堅くなんな」
「へっ....////」

ぎゅっ

次の瞬間、俺の身体は尊さんの身体の上に覆い被さっていた。
俺の背中には、尊さんの逞しい腕が回されている。

「は....!?/////」

俺は震える声を漏らして尊さんの顔を見た。

み、尊さん....?
え、俺今一体....!?

「片腕な―――」

尊さんは小さくそう零した。

その口元には小さな笑み。
尊さんのその様子があまりにも格好良くて、俺は脳がパンクしそうになる。

つーか、もう....ダメだ////
尊さんの格好良すぎオーラでもう意識飛びそうだぜ.....っ!!////

「尊さん....っあ、お、俺....」
「ふ....」

俺は尊さんの腕の中であたふた口を開閉させる。
尊さんへの敬意や、憧れ、様々な感情が俺の胸の中で渦を巻いた。

(みこと、さん....)

尊さん、尊さん、貴方の存在は大きすぎて、俺、この感情をどうしたらいいのか―――

ああ畜生考えがまとまらねぇ!!

「尊さん!!あの、とにかくっ!!」
「....何だ」
「俺、尊さんの事!!大好きですからっ!!////」

俺はとうとう叫んで、尊さんの瞳と向き合った。
心臓がバクバク煩い。

(は、あ....尊さん)

そうだ、好きなんだ。
尊敬も何もかもひっくるめて、俺は尊さんが好きだ。

「....八田」
「っ////」
「....」

ドキドキ煩い心臓。
脈拍に遭わせて波打つ景色。

俺には、その一瞬が永遠にも感じられた。

暫く沈黙がバーを包む。
そして漸く、尊さんが俺の身体を再びぎゅ、と強く抱いた。

「尊さ....////」

尊さんは何も言ってくれなかったけれど、こんなに近くに、俺をおいてくれてる....。

(こんなに、傍に....!!////)

まるで、尊さんの心臓の音が聞こえてきそうな程の距離―――

「....好きです、尊さん....っ」

俺は再び小さく呟いた。

貴方の心臓のこんなに傍に、俺をいさせてくれる何て。
俺、すげぇ、誇らしいです――――

(尊さん....尊さんは一人で何でも出来ちまうけど....)

でも、それでも俺は、貴方の傍にずっといますから!!

(一人じゃないですからね、尊さん!!)

尊さんは、孤独なんかじゃない。

忘年会を部下にすっぽかされる青の王とは違うんだ。

「....っ!!」

俺は小さく尊さんの胸に縋った。
尊さんの体温が俺の胸に伝わってきて、俺は軽く唇を噛み締める。

(....これからもずっと、貴方の傍にいさせて下さい....尊さんッ!!)



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初尊美です....!!
ちゃんと尊美になってるんでしょうか^^;

パーソナルスペースに八田を受け入れる尊さんと、それの重みに気付かない鈍感八田ちゃん(デジャヴ)なイメージです。

尊美の美咲は私が書くと有り得ない位デレデレですね....←



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