★Text
□Animal passions
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★リクエスト★
※美咲視点
※吠舞羅のメンバーが出てます
「八田さん、明日一緒に映画行きません?」
「あぁ?」
瞬間、眼前に迫る二枚の映画のチケット。
それをひらつかせながら板東が口元に笑みを浮かべた。
俺は板東の唐突な誘いに、訝しげに彼を睨む。
「映画って....これをか?」
低い声で呟きながら、俺は板東の持っているチケットにちらりと目をやった。
チケットのイラストでは、明るい茶髪の女を、黒髪の男が背中から抱きしめている。
どう見ても....恋愛映画。
「どうっすか八田さん」
板東は口元の笑みを深めながらサングラス越しに俺の表情を伺った。
....どうもこうも、何で野郎二人で恋愛もの見に行かなきゃいけねーんだよ。
「....翔平と行け」
「いやいや、彼奴は何か忙しいらしくて....頼みますって」
「....」
頼む程の事かよ。
そう思うものの、頼まれるとどうも断り辛い。
仕方ねぇ、付き合ってやるか....。
つまらなければ寝てたらいいし。
「はー、仕方ねぇな」
「サンキュー八田さん!っしゃこれで三マn...」
「あ?サンマ?」
「あっ、いえいえコッチの話です!じゃあ明日は宜しくお願いしますね!」
俺は慌てて話を纏める板東に少しの疑心を持ちながらも、その時は深く考えなかった。
何だ此奴変なの、位。
板東は何時も大体変だから特に気にもとめなかった。
それがいけなかったんだ――――
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翌日。
映画館を出て、俺は渾身の力を込めて板東を殴り飛ばした。
「てめぇえええ何なんだよアレはぁあああ!!////」
「わ、悪かったって!!八田さん!!」
逃げる板東を見据えながら俺は固く拳を握る。
映画を見ている二時間。
地獄だった―――
スクリーンにはお、女の裸。
目を瞑っても聞こえる嬌声と言葉攻め。
情事の最中に鳴り響くピストンの音と喘ぎ声....
「アレ、ポルノ映画じゃねぇかぁ!!」
「あ、あはは」
俺が吠えると板東は乾いた笑いを浮かべた。
それからちらりと横道に目をやる。
板東は口元に微妙な三日月を描きながら、さっと手を上げた。
「じゃ、じゃあ今日はこれで!ありがとうございました八田さん!」
「あ、コラ待てテメェ!!」
俺が叫ぶと一目散に横道を駆け出す板東。
畜生ふざけんな逃げてんじゃねぇよ!!
嫌がらせか何かかよぉおお!!
「っんとによぉ....!!」
俺は追う気力も出ずにギリと歯軋りした。
一人道端に立ちつくし、小さく溜息を吐く。
街の喧噪が不愉快に苛立たしかった。
(あークソ!!今でも思い出す!!)
映画の中での女の喘ぎ声、そして男の言葉攻め....
二時間ずっと濡れ場を見せ続けられて俺がどれだけ硬直したか彼奴には絶対解らないだろう。
後で絶対泣かす!!
「それだけじゃねぇ....っ!!」
何でわざわざあの映画なんだよ。
せめて他のポルノだったらまだマシだったのに....!!
「彼奴....何であんな猿に似てんだよ....!!」
あの二時間、俺を苦しめたのはただエロシーンだけじゃない。
主演男優が猿比古に似ていた事、それが一番俺を苦しめた。
(信じらんねぇクソ!!)
まるで猿比古が誰かを抱いているようで。
それが胸糞悪いものの、彼の甘い声が俺の耳を犯していったのも確かだった。
「っ....////」
猿比古の声が、聞こえてるみたいで。
何で俺がクソ猿を思ってこんなドキドキしなきゃいけねぇんだって思いながらも、壊れそうな位心臓は煩く脈打った。
『―――なぁ、ここがイイんだろ?素直になれよ』
映画の中の、猿比古に似た声が頭の中に再生される。
耳元に囁く様な色気のある声。
『素直になれよ―――美咲』
「っ!!////」
不意に、その声に本物の猿比古の声を重ねて思ってしまって俺はビクつく。
(な、何考えてんだ俺は!!)
猿比古のセックス現場なんて当然見た事なんてない。
当然だ。
あったら可笑しい。
それが、まるであの映画のせいで....
猿比古が誰かを抱いてる所を見てしまったような気になる。
いや、それ所か、俺と彼奴が....
(ふざけんな板東....今度会ったらただじゃおかねぇ....!!)
映画のチケットを見せられた時に気付けば良かったんだ。
ちゃんと確認したら良かった。
「は、クソ....」
『美咲―――』
頭の中に、猿比古の姿と声が現れて俺は身を固くする。
再び心臓が激しく脈打つ。
「....っ!?////」
瞬間、びくりと下半身が鈍く疼いた。
(は....)
う、嘘だろ俺....
もしかして、ムラムラ?してる....?
猿比古相手に?
「え....ぁ」
ちらりと自身の下半身に視線をやる。
(....え、嘘だろ....!?)
どうすんだよこれ。
思いっきりここ街中だぞ!?
「っ!!////」
俺は仕方なく細い路地裏に駆け込んだ。
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(ああクソ、何で俺がこんなっ....!!)
俺は心中で叫びながら、性器に手をやった。
壁に左手を付けながら、右手で性器に刺激をやる。
「っん、ふぁ....!!////」
猿比古の事を考えて固くなっていた性器は、あっさりと快感を享受した。
「っ、ん....さる」
性器を抜くと、快感が脳を駆け抜ける。
脳の髄が痛み、そこから快感が身体中にバラ蒔かれて行った。
(こんな所で....っ)
暗い路地裏に俺の息遣いが広がっていく。
(誰も、いない....よな)
外で抜くなんて初めてで、俺は唇を噛んだ。
誰かに見られたら?
もしこの声に気付かれたら?
そう思うと、背徳感からか一層快感が肌の下を通った。
血潮に合わせて、俺の身体を快感が流れる。
「ふっ、ぁ、ああっ////」
俺は思わず声を漏らした。
壁に付けた左手が震えて、腰が抜けそうになる。
「ひ、ぁ、い....ィく....!!////」
こんな所で....!!
そう思った瞬間だった。
背後から誰かに口を塞がれる。
「!?」
心臓が跳ね上がった。
俺は吃驚して思わず性器を擦る手を止める。
高ぶった快感が一瞬にして霧散した。
(っあ、人―――!!?)
見られた。
俺は一瞬のうちに真っ青になる。
抵抗も忘れて俺は刹那息を飲んだ。
その瞬間、背後から聞き慣れた声がする。
俺の口を塞ぐ力が少しだけ弱まった。
「っは、テメェ....こんな所で何やってんだ、この淫乱ガラス....」
「っ!」
猿比古の声―――
俺は聞き慣れたその声に、反射的に首を捻って振り返った。
大きく見開いた俺の瞳に、猿比古の端正な顔が映る。
「ぁ、さ....さる、見....!?」
「....みぃさぁきぃ....お前って野外とか好きだったんだな、知らなかった」
唖然として言葉を失う俺。
対照的に猿比古は愉快そうに瞳を細めた。
俺は猿比古のその瞳に硬直する。
まさに蛇に睨まれた蛙状態だった。
(み、見られた....猿比古に....ッ!!)
瞬間頭が真っ白になる。
こんな路地裏で、こんな事してる所を、猿比古に見られるなんて....!!
猿比古は絶句する俺を見つめると、俺の身体に自身を押しつけた。
刹那感じる、猿比古の昂ぶり。
(ひっ....!?)
此奴....た、勃ってる!?
何で....!?
俺が怯えた瞳で猿比古を見つめれば、猿比古はにやりと嫌らしく笑みを零した。
「美咲を見つけたからさぁ....ちょっと後付けて見たらよぉ.....まさか路地裏入ってって、それから一人でオナり始めるなんてな」
「....!!////」
付けて見たらって....まさか最初から全部見られてたって事かよ!?
ん、いや....後付けてって....ストーカーかよ!?
普通に犯罪じゃねぇか!!
「っテメェ、何なんだよ後付けてって!!ストーカーかコラ!!」
「は....俺の事より美咲ぃ、自分の心配するべき何じゃねぇのぉ?」
「へ....」
俺は猿比古に言われてはっと我に返る。
猿比古のストーカー行為はともかく、今の俺は猿比古の犯罪行為にとやかく言える状態じゃない....
「っ!!////」
「みーさぁーき、今の自分見て見ろよ....公然猥褻罪もいい所じゃねーの?」
「っな....!!」
「公然猥褻罪は現行犯逮捕だからな、どうする美咲....お巡りさんの俺に捕まっちゃったね」
耳元で猿比古が囁く。
その声に瞬間俺の身体がざわついた。
(っ....コレ....!)
まるで、あの映画みたいな―――
瞬間脳裏に映画の最中の男優の声を思い出す。
そう、猿比古によく似たあの声。
再び、俺の内奥がきゅんと疼いた。
「は、離れろ....クソ猿」
「離れろぉ?美咲何て態度取ってんだよ.....お前今の自分の立場解ってんのか?」
猿比古はそういいながらそっと俺の性器に手を這わせる。
ぞくりと背筋に快感が走った。
「っやめ....////」
「美咲、見逃して欲しかったら精々従順に俺に従うんだな.....」
「....っんん!!////」
猿比古の舌が俺の耳を這う。
熱い吐息が首筋を愛撫した。
「ひ、ゃあ....っ!!////」
「くは、手伝ってやるよ美咲ぃ....」