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□依存症
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※セックス依存症の八田
※八田視点

「あっ、ふぁっ....!!」

俺は甘い声を上げて身体をしならせる。

「あ、っ、ぁあ」

快感が身体中を這い廻り、俺はびくりと震えた。

「っ、猿比古ぉ....」

頬に熱い涙が伝う。
俺は切なさに耐えきれず、バイブの強度を上げた。

「っあ、ああぁっ!!」

密壺のバイブが暴れまわり、俺は甲高い悲鳴を上げる。

「ぁ、さるっ....」

俺は切なく彼の名を呼んだ。

「っ、猿比古....ッ」

猿比古との性行は一度だけ。
それも、酷く一方的な行為だった。

猿比古が吠舞羅を裏切った日。
俺は猿比古に吠舞羅を抜けると告げられ、そしてその晩彼に犯された。

猿比古が俺らを裏切るなんて、訳が解らなくて。
俺は少し自暴自棄になって、夜遅くに治安の悪い道をわざと通って家まで向かった。

そしたら、案の定ガラの悪い男達に囲まれて犯され掛けた。

全員ぶっ飛ばして逃げようかとも思ったけれど、上手く力が入らなかった。
そこに、猿比古が現れた。

俺に群がってた男達を一掃すると、俺を怒鳴り付ける。
何て言われたかは覚えてねぇや。

それから、猿比古に無理矢理押さえ込まれ、その場で犯された。

勿論俺も必死に抵抗したけど、猿比古が裏切った悲しみや不安で炎が....尊さんがくれたこの力が上手く扱えなくて。
猿比古に押さえ込まれたら、逃げられなかった。

俺は泣きながら、猿比古に止めろと叫んだけれど、猿比古は止まってくれなくて。
猿比古のグロテスクな一物は、無情にも俺の身体を貫いた。

「っああ!!」

俺はバイブの快感に喘ぐ。
あの日、猿比古に身体を貫かれた事を思い出すと、身体が熱くなった。

「猿比古ぉ.....」

帰ってきて。

俺は切ない思いにそっと蓋をする。
このままじゃ、俺は壊れてしまいそうだ。

「っ、猿比古、猿比古ッ....」

俺は何度も彼の名を呼びながら、猿比古と身体を重ねたあの瞬間を思い出す。

きつそうな顔して、キスもしてくれないで、でも、時々優しく身体を撫でてくれて。
猿比古の指が、身体が、俺の身体を壊して行った。

「っあ、猿比古....も、イく....!!」

俺は霞んだ視界の中、猿比古の姿を探す。
彼はここにいないと解っているのに。

「っあ、ああああっ!!」

俺は悲鳴を上げながらイき果てる。
勢いよく出た精子がべったりと俺の腹を汚した。

「っ、猿比古ぉ....」

俺は吐性後の余韻に涙を溢しながら、彼の名を呼ぶ。

猿比古、会いたい。

もう一度、彼の指で触れて欲しい。

「っふ、猿比古ぉ....っ」

辛くて、寂しくて、俺はその苦しさを性の快感の中に消して仕舞おうとした。
でも、それすらも、猿比古は許してくれない。

「猿比古ぉ....、さる....」

自慰をする度、絶頂を迎える度、彼奴の事が頭に浮かぶ。
それが、辛い。

それでいて、俺はこんな事をしてまでも、猿比古との甘い記憶を思い出したいとすら思う。

「猿比古.....」

今、どうしてんだ?

俺は切なく胸の内で呟くと、再びバイブのスイッチを入れた。

「っぁあ!!」

気持ちいい。
でも、辛い。

猿比古の事を忘れたい。
でも、猿比古との甘い記憶を思い出したい。


―――俺は、あの日から自慰が止められなくなった。

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