女神の采配
□7個目
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「真雪ちゃん」
「あ、冬花さん」
真雪がロビーで会計待ちをしているとちょうど冬花が通りかかった。
急いでいる様子もなく、冬花は真雪の隣に座った。
「やっと来たわね。
どうだった?結果」
「お陰さまで、オッケーもらいました。
1試合フルはまだ無理だけど、無理のない程度でなら激しい運動も大丈夫だろうって」
「そっか。よかったわね」
嬉しそうに笑う真雪につられるように冬花も笑みをこぼす。
すると冬花の携帯に呼び出しがかかり、続いて真雪が会計に呼ばれた。
慌てて立ち上がった冬花に手を降って、真雪は支払いへと向かった。
「(あれは……)」
優一の病室から偶然にも窓の向こうを眺めていた京介の視界に、燕尾服の男と並んで歩く真雪が映った。
エルベルトより大分若い、と言うより幼い男だ。
思わず目で追っていると、京介の様子に気付いた優一が同じように視線を向けた。
「優しい子だね、真雪ちゃんは」
「……知ってたんだ、兄さん」
「翔さんの妹だからね。
定期的に来てるみたいだよ。よく子供たちとサッカーやってるのを見かける」
「いいのか?」
「子供たちは大丈夫みたいだけど、真雪ちゃん本人はいつも看護師さんに連行されてく」
2人の脳内に、ボールを抱えたまま看護師に引きずられていく真雪が浮かぶ。
外を歩く真雪から目を離し顔を向かい合わせた2人は、呆れたように、そしてどこか楽しそうに笑いあった。